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女性に多い痔の悩みを解消!食習慣と自然療法で予防&治し方

女性に多い痔の悩みを解消!食習慣と自然療法で予防&改善

「痔」は中高年の男性に多いイメージがありますが、実は女性にも多く見られる疾患です。とくに、妊娠や出産を経験した女性では、痔に悩む人が少なくありません。

「痛い」、「腫れている」、「出血がある」などの症状があっても、「恥ずかしい!」と思って、病院に行くのをためらう人も多いでしょう。しかし、痔は放置すると悪化し、最終的には外科的治療が必要になる場合もあります。痔に関する正しい知識をもち、早期に対処することが大切です。

今回の記事では、痔とはどのようなものなのか、痔の症状や痔の原因、自分で簡単にできる予防法や治し方など、痔に効果的なハーブ類、栄養療法(サプリメント摂取)などもあわせてお伝えします。

痔とは

痔の種類と具体的な症状

痔にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴的な症状があります。代表的なものとして痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(じろう)に分類されます。

◆痔核(いぼ痔
・内痔核
: 肛門の内側にできる痔で、初期段階では痛みが少ないものの、進行すると出血脱肛(痔核が外に飛びだす)します。便に鮮血が混じることが多いといえます。慢性的になると、脱肛した痔核が戻らなくなります。

・外痔核: 肛門の外側にできる痔で、腫れ激しい痛みをともないます。血管が破裂して血栓ができると、青紫色に腫れることもあります。

◆裂肛(切れ痔)
排便時に肛門の粘膜が裂けて、鋭い痛みを感じるのが特徴です。主に便秘でかたい便を排出するときにおこりやすく、便に血が付着することが多いです。

◆痔瘻(あな痔)
肛門周辺の感染が原因で、肛門と皮膚の間にトンネル(瘻孔)ができ、発熱やうみ強い痛みをともないます。

痔の主な原因と、そのリスク要因

痔の主な原因と、そのリスク要因

痔は、主に肛門周辺の静脈がうっ血することによってひきおこされます。これは、便秘や下痢といった排便の問題や、長時間座りっぱなしでいることなどの生活習慣による影響が強いです。とくに、以下の要因が痔のリスクを高めます。

◆便秘
かたい便を排出するために強くいきむことで、肛門に大きな負荷/圧力をかけます。(⇒便秘解消法)

◆下痢
慢性的な下痢により、肛門が頻繁に刺激され、感染しやすくなることも痔の原因の一つです。

◆長時間の座り作業
デスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態がつづくと、肛門周辺の血流が悪くなり、痔をひきおこすリスクが高まります。

◆長時間の立ち仕事
長時間立っていることは、血液循環の悪化や肛門への圧力増加により、痔のリスクを高めます。

◆妊娠中・出産後
女性の場合、妊娠中はホルモンの影響で血液循環が悪くなり、さらに出産時の強い圧力が肛門にかかることで痔が発生しやすくなります。

◆加齢
年齢を重ねるにつれ静脈の弾力性が失われ、血液がうっ血しやすくなります。これにより、肛門周辺の静脈が拡張し、痔が発生しやすくなります。また、肛門周辺の筋肉も弱くなり、排便時に必要以上に力をいれることが必要になり、これが肛門への圧力を増し、痔をひきおこす要因となります。

◆遺伝的要因
痔になりやすい体質や家族歴がある人は、痔を発症する可能性が高まるとされています。

痔の改善に役だつ食習慣のポイント

痔の改善に役立つ食事のポイント

痔の主な原因としてあげられるのが便秘です。とくに女性は便秘になりやすく、排便時に強くいきむことが痔の発症や悪化につながります。

痔の予防/改善には、食物繊維と水分をしっかり摂取

便秘の原因は、生活習慣、おもに食習慣によるところが大きいので、食物繊維の摂取水分補給を心がけ、便を柔らかくすることが予防と治すためのカギになります。

食物繊維のなかには、水にとける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があります。水溶性は腸内細菌のエサになりますし、不溶性は便のカサを増やし排泄しやすくしてくれます。水溶性と不溶性の食物繊維をあわせてとることが大切です。

新鮮な野菜やくだもの、全粒穀物、豆類、海藻類を積極的にとりましょう。1日の目標摂取量は20~25gです(大腸がん予防には、1日30g必要とされます)。

食物繊維をサプリメントで摂取する場合、少量からはじめ、少しずつ量を増やすようにします。最初から多くとると、膨満感、ガス、下痢などを発生させることになります。(※食物繊維サプリメントは、かならず、ほかのサプリメントとは離してとるようにします)

十分な水分摂取もスムーズな排便には重要です。ノドがかわいていなくても、良質の水を1時間にグラス1杯&1日2杯程度のハーブティー…計1日に1.5~2リットル飲むことをめざしましょう。

カフェインがふくまれる飲みものやアルコールは刺激になるので避け、消化のサポートや、リラックス効果、あるいは、デトックス効果のあるハーブティーを選択するといいでしょう。

そのほか食事での注意ポイント

★高タンパク質を食べるときには、消化に注意
赤肉をはじめ、高タンパク質食は消化しづらく便秘を誘発する可能性があります。高タンパク食を食べるときには、よく噛んで食べることはもちろん、タンパク質分解酵素が含まれるダイジェスティブエンザイム(消化酵素)を摂取するといいでしょう。

★刺激物は避ける
カレーやキムチなど、辛いスパイス(香辛料)をつかった食べものは、肛門を刺激するので避けましょう。

★亜麻仁油(Flaxseed oil)の活用
便を柔らかくするために、亜麻仁油を1日大さじ1~2杯とるようにします。(亜麻仁油は、加熱しないよう注意!)

★痔が出血している場合
アルファルファや濃い緑の葉野菜など、ビタミンKが多い食品を食べるようにします。頻繁に出血するようなら、貧血防止のため、鉄分とともにビタミンB群およびビタミンCをとるようにするといいでしょう。

日常生活での痔の予防/改善: 習慣と姿勢

日常生活での痔の予防: 姿勢と習慣

座りっぱなしや立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢でいる仕事や習慣は、痔の発生や痔を悪化させる要因となります。その主な理由は、血液循環の悪化肛門への圧力の増加です。

まず、座りっぱなしの場合、体重が肛門周辺に集中し、静脈が圧迫されて血流が悪化します。とくに、長時間のデスクワークなどで座りつづけていると、肛門周辺の血管がうっ血しやすくなることで、痔に…。また、運動不足による便秘も痔のリスクを高めます。

一方、立ちっぱなしの場合も、下半身に血液がたまりやすく、肛門周辺の静脈に負担がかかります。とくに、姿勢が悪いと骨盤まわりに不必要な圧力がかかり、血流が滞りやすくなり、静脈がうっ血し痔が発生しやすくなります。

ちょっとの工夫で、痔の予防/改善

ちょっとの工夫で、痔の予防・改善

仕事の関係で座りっぱなし、あるいは立ちっぱなしの生活を余儀なくされているケースもあるでしょう。そのような場合、以下の対策が痔の予防/改善に役だちます:

◆適度に身体を動かす
座っての仕事や習慣がある場合、1時間に1度は立ちあがり、軽いストレッチや歩行をおこないましょう。

長時間立ちつづける場合も、定期的に身体を動かすことが大切です。適度に足踏みをしたり、体重を左右にシフトしたりして、静脈の血流を促進しましょう。

◆適度な運動
日常生活のなかで、ウォーキングやヨガなどの軽い運動をとりいれることで、血流が改善し、また、腸の動きを活発にして便通を促進します。ストレス改善にもなります。

◆規則正しい生活
睡眠不足や不規則な生活は便秘を悪化させます。規則正しい生活リズムを心がけましょう。

◆座るときの工夫
かたいイスや床に座るのは避け、柔らかいクッションを使用して、肛門への圧力を分散させます。ただし、ドーナツ型クッションは避けましょう。中央が空いているため、逆に肛門周辺に負荷がかかります。

◆衣類の選択
締めつけの強い下着やズボンは避け、ゆったりとした衣類を選びましょう。

◆トイレで座るのは10分以内に
肛門に負荷をかけないよう、長時間トイレに座っているのは避けましょう。

良い姿勢を意識して、痔のリスクを軽減

座っているときも、立っているときも、よい姿勢を保つことで痔のリスクを軽減できます。

⇒背筋を伸ばす
猫背や前傾姿勢を避け、頭から背骨までまっすぐに伸びる姿勢を意識します。肩を軽くひき、胸をひらくようにします。

⇒骨盤をニュートラルに保つ
骨盤が前後に倒れすぎないよう、自然な位置に保つように…。お腹に軽く力をいれて、骨盤の前傾や後傾を防ぎます。

⇒重心を均等に保つ
立っている場合は、両足に均等に体重をかけるようにし、片足にかたよった立ちかたを避けます。

肛門を温め、血流改善を:入浴と温罨法(おんあんぽう)

肛門を温め、越流改善を: 入浴と温罨法

痔の痛みや腫れをやわらげるためには、温浴が効果的です。お風呂にゆっくりつかることで、肛門周辺の血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれ、痔の痛みがやわらぎます。毎日15分ほど湯船につかる時間をつくりましょう。

・入浴時の注意点
お湯の温度は38~40度のぬるめが最適です。熱すぎるお湯は皮膚を刺激するので避けます。

・入浴剤の使用 
基本的にお湯には入浴剤、バスオイルなどは使用しないほうがベター。敏感になっている組織を刺激し、逆効果です。なにか使用したいなら、エプソンソルト(硫酸マグネシウム)がおすすめです。不足がちなマグネシウムを補うとともに、筋肉の緊張をほぐし、血行不良の改善にも役だちます。

・石鹸の使用
炎症をひきおこすリスクがあるため、肛門を石鹸で洗うのは避けましょう。かわりに、ぬるま湯で優しく洗浄するか、湿らせたタオルで軽くふくことをおすすめします。

・座浴
専用の座浴器をつかって肛門周辺だけを温める方法もあります。

・温罨法(おんあんぽう)
暖かいタオルを肛門にあてる方法も有効です。

 

痔の予防/改善には、ストレスマネージメント/ストレスケアも重要

ストレスで急激に痔の症状が悪化することも

ストレスが直接痔をひきおこすわけではありませんが、ストレスによって、急激に痔の症状を悪化させることがあります。

現代人は、さまざまなストレス要因に囲まれながらの生活を余儀なくされています。そのため、本人が自覚していなくても身体に大きなストレスがかかっているケースが少なくありません。

脳がストレスを感じると、自律神経やストレスホルモンの影響で、筋肉が緊張したり、血行が悪くなったりするため、痔の症状が悪化することが多いのです。また、ストレスは腸の働きを低下させるので、これにより便秘が悪化し、痔のリスクが高まります。

適切なストレスケアの実践を

適度な運動やリラクセーションをとりいれ、ストレスを管理することは、痔の予防・改善に、とても重要です。

リラクセーションの実践
深呼吸や瞑想、ヨガなどでリラックスを心がけましょう。ゆっくり入浴したり、森林浴なども効果的です。

十分な睡眠 
質の良い睡眠は、身体の回復とストレス軽減(コルチゾールレベルの低減)に不可欠です。

適度な運動

適度な運動は、身体と心、いずれにもプラスに作用してくれます。1日10分程度でも、ウォーキングや軽いエキササイズを心がけましょう。

★趣味やレジャー
好きなことに時間をつかい、心のリフレッシュをはかりましょう。

ストレスは便秘をひきおこしやすいについては、【便秘とストレスは深い関係?自然な便秘解消法と腸内環境を改善する具体的アプローチ】にくわしく書きましたので、ぜひ、ご参考に!

 

痔にもビタミン&ミネラルなどのサプリメントを活用

痔にもビタミン&ミネラルなどのサプリメントを活用

痔の治癒に必要な微量栄養素

痔の改善や予防には、特定の栄養素をサプリメントで補給するのもおすすめです。

<< 必須 >>
カルシウム&マグネシウム: カルシウムは筋肉や血管の健康をサポートし、マグネシウムは便を柔らかくし、筋肉の緊張をやわらげる効果があります。これらのミネラルを適切に摂取することで、痔の原因となる便秘や血行不良が改善され、痔の予防や治療に役だちます。いずれも1日1000~1500㎎を摂取するといいでしょう。 

・ビタミンC+バイオフラボノイド: 抗酸化作用があり、血管を強くします。血流の改善にも有効です。1日あたり3000~5000mgを目安に(何回かに分けて)摂取します。

・ビタミンE: 血行を促進し、うっ血を改善します。d-αトコフェロール(天然ビタミンE) を1日あたり200~400IUが目安。摂取するだけでなく、カプセルを割って患部に塗るのも効果的です。

<< 重要 >>
・ダイジェスティブ・エンザイム(消化酵素): 食べたものの消化の改善は直腸へのストレスを軽減します。1日3回食事前に摂取します。食事と食事の間の空腹時に摂取すれば、炎症の軽減に有効です。

・ビタミンB群: 消化にはすべてのB群のビタミンが必要です。主たるB群(B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6)は、1回50-100mgを1日3回。それに加え、ビタミンB6を1回50㎎ x 3回、B12を1000㎎ x 2回、コリンとイノシトールを50㎎ x 2回が目安です。

<< 役だつ >>
・コエンザイムQ10: 細胞への酸素供給を促進し、治癒をサポートします。1日100㎎。

・ビタミンA(カロテノイドと一緒に): 粘膜や組織の治癒をたすけます。1日15,000 IU。妊娠中は、1日10,000 IUを超えないように注意を!

・ビタミンD: 粘膜や組織の治癒をたすけます。かならず、非活性型のビタミンDを使用し、1日600 IUの摂取を。

自然療法で痔の治癒に効果的とされるハーブ類

お茶やサプリメントとして飲むことができる、痔に効果的なハーブとしては、クロウメモドキの樹皮、コリンソニアの根、ストーンルート、赤ブドウの葉などがあります。

痔に直接塗る軟膏や注入薬などが市販されていますが、自然療法でつかわれるハーブ類をいくつかご紹介しておきましょう。

アロエベラのジェルを直接、肛門に塗ることでアスピリンと同様の作用が期待できます。痛みを軽減し、灼熱感をやわらげてくれます。新鮮が果肉を使用できれば、それがベストです。

コンフリーの根の粉末でつくったペーストを、適当な大きさに切ったサラシか、何重かにしたガーゼに伸ばして湿布として使用します。出血をともなう痔の改善に効果的です。

エルダーベリービロードモウズイカをペーストにして湿布するのも、痔の痛みの軽減に有効です。

ウィッチヘーゼルには収斂作用があるので、静脈のうっ血を縮小するのに役だってくれます。滅菌コットンで一日3回、うっ血部分に直接つけます。

・皮をむいたニンニクの一片を坐薬として週に3回使用するという方法もあります。また、生のジャガイモの坐薬は、痔の治癒と痛みの緩和に役だちます。皮をむいたジャガイモを小さな円錐形に切ってつかいます。

 

肛門科を受診する必要がある痔の症状

こういうときは、すぐ専門医に相談を

こういうときは、すぐ専門医に相談を

痔は軽度から中程度であれば、これまでお伝えしてきた生活習慣の改善やセルフケアで対処できます。しかし、次のような症状があらわれた場合は、早急に肛門科や肛門外科を受診しましょう。

高熱や膿をともなっている
感染症の可能性があり、放置すると全身に影響をおよぼすことがあります。

内痔核が外に飛びだして戻らない(脱肛)
手で押し戻せない場合は緊急処置が必要です。

外痔核が青紫色に腫れて激痛がある
血栓性外痔核の可能性があり、強い痛みをともないます。

切れた部分に潰瘍ができた
 裂肛が慢性化している状態で、専門的な治療が必要です。

3日以上出血が止まらない
大量の出血は貧血をひきおこす恐れもあります。

中程度以上の痔の治療法

痔は進行すると、手術などの外科的な治療が必要になる場合があります。

たとえば、内痔核が脱肛し、戻らないような状態で激しい痛みをともなうようなら、痔核結紮術(ゴム輪結紮法)や硬化療法などの外来治療が必要になります。

これらの治療法では、内痔核にゴムを巻きつけて血流を止め、痔核を自然に縮小させる方法や、硬化剤を注射して痔核を縮小させる方法がとられます。いずれも日帰りでうけられることが多い治療法です。

痔瘻や進行した内痔核など、重度の痔の場合、外科的な手術が必要になります。手術にはいくつかの方法がありますが、代表的なものは痔核切除術です。これは、痔核を切除してとりのぞくもので、術後の痛みや出血がありますが、痔を根本的に治療する効果があります。

また、最近では、レーザー手術ドップラーガイド下痔動脈結紮術(HAL-RAR)といった、痛みが少なく回復が早い治療法も増えています。これらの手術は入院が必要な場合もありますが、技術が進歩し、従来の手術よりも負担が軽減されています。

 

まとめ:恥ずかしいと思わず早めの対策を

痔は生活習慣や食習慣と深くかかわっており、誰にでもおこり得る疾患です。早めに適切な対策をとることで、症状の予防や改善が可能です。

  • 便秘や下痢は、痔のリスクを高める。腸内環境には気をくばり、毎日、良い“お通じ”を心がける。(⇒便秘解消法
  • 日々の食生活では、食物繊維の多いものを食べることを心がけ、カフェイン、アルコール、辛いスパイスなどの刺激物は避ける
  • 1時間にグラス1杯程度の良質な水+2杯程度のハーブティーを。
  • 予防/改善には、サプリメントをうまく活用する。
  • 座わりっぱなし、立ちっぱなしを長時間つづけない工夫を。また、常に良い姿勢を保つことを心がけることも大切。
  • 外部からのケアとしては、肛門を温めて、血流改善を。痔の改善に軟膏、外用薬、座薬などの使用が必要になることもある。その際、痔に効果があるとされる特定のハーブ製品を選択することも検討。
  • 適度な運動やリラクセーションをとりいれ、ストレスを管理することは、痔の予防・改善に、とても重要。

痔の症状がかなり進んでいても、とくに女性は、「恥ずかしい」と思って放置しがちです。生活習慣の見直しとともに、早めに専門医に相談し、健康的な生活をとり戻してください。

あなたが、最高の健康を手にいれ、いつもハッピーでいられますように (^^♪

 

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