女性にとって一番多い悩みといったら便秘といえるかもしれません。便秘は多くの人がかかえる一般的な健康問題。現代社会において、私たちの忙しい生活スタイル、食生活の変化、そして高いストレスレベルがこの症状を悪化させることが一般的です。
今回の記事では、便秘の大きな原因でもあるストレスに焦点をあて、便秘薬などを使用することなく、便通を改善するための対策、自然療法などとあわせてご紹介します。
日々の忙しさに追われるなかで、便秘はしばしば、“あとまわし”にされがちな問題ですが、その対策を怠ると、思わぬ健康リスクをまねくことにもなりかねません。
- 便秘とは・・?
- ストレスが腸&腸環境におよぼす影響
- ストレスによる便秘の具体的な症状と影響
- 便秘の予防/解消もストレス管理が重要
- 食生活と腸内環境の改善
- 身体活動の増加で腸の蠕動運動を促進
- 便秘薬/下剤類は、安易に使用しない
- 自然療法の活用-ハーブ類、サプリメント他
- 朝の排泄タイムを確保
- まとめ
便秘とは・・?
便秘とは、排便が困難であるか、排便間隔が異常に長い状態をさします。具体的には、排便が週に3回未満、あるいは3日以上排便がない場合に便秘と診断されることが一般的です。ただ、1日1回の便通があっても、残便感がある、あるいは、便の形状によっては便秘といえるケースもあります。
便秘は、消化管内の食物の移動遅延、水分の過剰な再吸収、または運動不足によってひきおこされることが多いといえます。
いずれにしろ、スムーズな便通が最低1日に1回ない状態がつづくと、腹部の不快感や、さらなる健康問題をひきおこす原因となります。
※あなたは、1日最低1回、よい“お便り”がありますか?
健康的な便の色は黄色っぽく、形はバナナ状が理想。便の色が褐色~黒っぽかったり、おならが臭いのは、腸内環境が悪い証拠。たとえ、便秘ではなくても、即対策が必要です!
便秘の一般的な原因
便秘をひきおこす要因は多岐にわたりますが、主な原因としては食生活の乱れ、水分不足、運動不足、ストレスなどがあげられます。たとえば、水分や食物繊維の不足は直接的に便秘をひきおこす要因です。
また、忙しい現代人の多くが経験するストレスは、消化器系の機能低下をまねくばかりか、腸内環境を乱すことで便秘をひきおこしたり、悪化させます。ここでいうストレスとは、精神的なストレスにかぎらず、寒暖差や湿度、音、光、電磁波などの物理的ストレス、睡眠不足や栄養素不足、疲労、花粉やカビなどの生物的ストレス、食品添加物をはじめ、体内に運び込まれる有害物質などの化学的ストレスもふくみます。
一時的な便秘と慢性的な便秘
便秘には、「一時的な便秘」と「慢性的な便秘」があります。一時的な便秘は、食生活の変化や水分不足、旅行や環境の変化など、一時的な要因によっておこることが多く、通常はその要因が解消されれば自然に改善されます。
一方で、慢性的な便秘は、長期間にわたりつづくもので、しばしば生活習慣やストレスのつみ重ねが関与します。とくにストレスは、自律神経に影響をあたえるだけでなく、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰分泌をひきおこし、腸の運動を低下させ、また、腸内環境の悪化をまねくことで慢性的な便秘につながります。
私たちの体内には、日々多くの身体にとっての毒物が運びこまれているばかりでなく、過剰なホルモンやビタミン、炎症物質、老廃物など内因性毒素も日々発生しています。これらは、肝臓などで解毒され、一部は腎臓経由で尿として捨てられ、あとは、胆汁経由で、腸(体外)に捨てられます。
便秘をしていると、(排水管がつまったような状態なので)これらの体内の毒素を捨てられず、体内にとどまることになります。肌あれをはじめ、さまざまな健康問題をひきおこすことになります。「毎日スッキリ!」でない人は、早期の対処が必要です。
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ストレスが腸&腸環境におよぼす影響
旅行などで環境がかわると便秘になる。試験や会議の前など、緊張するとおなかが痛くなる。誰しも1度や2度は、このような経験をしたことがあるでしょう。ストレスでお腹の調子が悪くなるのはよくあること。
でも、なぜストレスでお腹/腸の調子が悪くなるのでしょう?
ストレスによる交感神経の影響
ストレスは二つの経路で全身に影響をおよぼしますが、その一つが自律神経系(交感神経)です。
自律神経系は、私たちの意思とは無関係に身体の機能を調整する神経系です。自律神経系は、交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)の二つから成りたっていて、これらがバランスを保ちながら腸の運動や消化機能を調節しています。
ストレスを感じると、脳の視床下部が活性化され、交感神経が刺激されます。交感神経が優位になると、身体はエネルギーを主に筋肉や脳に供給し、消化器系の活動を抑制します。これにより、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸内の内容物を押し出す動き)が鈍くなり、腸内の食物や老廃物がスムーズに移動せず、結果として便秘がひきおこされやすくなります。
一方、副交感神経は、リラックスしているときや休息時に活発になります。腸の動きが促進され、消化と排便がスムーズに進むように働きます。
ストレスホルモン、コルチゾールの影響
第2の経路は、HPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質)です。交感神経系が刺激された後、しばらく遅れて、主としてコルチゾールというホルモンが副腎皮質から分泌されます。このコルチゾールは、便秘に対して直接的・間接的に影響をおよぼします。
コルチゾールは体内のさまざまな作用に関係しており、体内の水分保持にも関係するホルモンでもあります。腸内で便が長時間とどまると、腸は便から過剰に水分を吸収してしまい、便がかたく、排便しづらくなります。さらに、ストレスやコルチゾールの影響で体全体の水分バランスが乱れると、便秘が悪化しやすくなります。
ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増えると、腸の感受性が高まり、過敏性腸症候群(IBS)などの症状があらわれることもあります。この状態では、腸が過度に緊張し、適切な排便がむずかしくなります。
慢性的なストレスによる持続的なコルチゾールの過剰分泌は、腸の働きを長期的に抑制します。すると、その便秘自体がストレス要因となり、さらなるコルチゾール分泌を誘発するという悪循環が生じます。このような連鎖により、腸の機能はさらに低下し、便秘の症状が慢性化/悪化します。
ストレスの腸内フローラへの影響
大便の約30~60%は腸内細菌(生きたもの、死んだものの両方)で構成されています。この事実だけでも、腸内細菌のバランスが便の状態に大きな影響をあたえることが理解できるでしょう。
ストレスによるコルチゾールの過剰分泌は、腸内細菌のバランスを崩すことで腸内環境に悪影響をおよぼします。
腸内には、1000兆もの微生物が存在し、これらがバランスよく共生することで、腸内環境の健康が保たれています。この腸内微生物の集まりを「腸内フローラ」とよび、消化吸収や免疫機能の維持、栄養素の生成に重要な役割をはたしています。
ストレスでコルチゾールが長期にわたり過剰に分泌されつづけると、自律神経は乱れ、腸内フローラのバランスもくずれます。善玉菌が減少し、悪玉菌が増加―この不均衡がつづくことで、消化機能の低下や便秘、さらには免疫機能の低下がひきおこされます。
ストレスが慢性的になると、腸内の炎症が増し、さらに腸壁が損傷をうけることもあります。これにより、腸のバリア機能が低下し、有害な物質が血流に入りこみやすくなる、“リーキーガット症候群”のリスクがたかまることも・・・。このように、ストレスは腸内細菌のバランスを乱し、腸内環境の悪化をひきおこし、便秘だけにとどまらず、身体全体に悪影響をおよぼすことになるのです。
腸内環境の悪化で腸もれ!?その体調不良、もしかしたらリーキーガット症候群
このように、ストレスは腸と密接に関係しています。ストレスを適切に管理し、自律神経バランスやコルチゾールレベルを適切に保つことは、腸内環境の健康維持、そして便秘の予防/改善に重要な役割をはたします。
ストレスによる便秘の具体的な症状と影響
便秘がひきおこす身体への悪影響
ストレスが原因となる便秘には、いくつかの特徴的な症状があります。
まず、腹部膨満感。お腹が張る感じですね。これは、腸内に便やガスがとどまり、腸の動きが鈍ることで生じるものです。排便回数の減少や便がかたくなることも一般的な症状です。
ストレスによって交感神経が活発になると、唾液や胃酸、さらに消化液の分泌が低下することで、食べものが消化されにくくなります。交感神経は、腸の蠕動運動も抑制するので、食物が腸内を正常に移動しなくなります。こうしたことにより、消化不良やガスの蓄積、腹部膨満感などの症状があらわれるのです。
加えて、ガスの放出が不十分なため、腹部に圧迫感を感じたり、ガスがとどまることによる痛みが生じることもあります。さらに、便秘が長期間つづくと、痔核、肛裂、腸閉塞などの合併症をひきおこすリスクが高まります。こうしたことから、日常生活に支障をきたし、さらにストレスが増幅するという悪循環がうまれます。
便意を感じても排便が困難だったり、便が少量しか出ないことがつづいたりする場合、ストレス便秘の可能性が高いといえます。
腸の問題だけではない!
便秘によって老廃物が体内に長時間とどまると、有害物質が腸内で再吸収され、これが体内に悪影響をあたえはじめます。たとえば、肌あれや吹き出物といった皮膚のトラブルが生じることが多く、これは身体が排泄をつうじて毒素を十分に排出できていないことに関連しています。
また、便秘がつづくと、腹部に不快感がつづき、疲労感や集中力の低下をひきおこすこともあります。頭痛やイライラ、不定愁訴といわれるさまざまな症状がでることも・・。
さらに、慢性的な便秘は免疫機能の低下にもつながり、感染症にかかりやすくなることも指摘されています。便秘がつづくことで、精神的にもフラストレーションが増し、ストレスをさらに悪化させるという負のスパイラルにおちいります。
このように、便秘は身体だけでなく精神的な健康にも悪影響をおよぼし、最終的には生活の質を著しく低下させる原因となります。そのため、ストレスによる便秘を早期に認識し、適切な対策を講じることが大切です。
便秘の予防/解消もストレス管理が重要
ストレスが便秘をひきおこす大きな要因であることから、便秘の改善には、食生活の見直しとともに、ストレス管理が極めて重要です。
現代社会では、多くの人が日々の生活や仕事、人間関係などからくるストレスをかかえています。こうしたストレスは、無意識のうちに自律神経系に影響をあたえ、腸の働きを低下させる原因となります。
ストレスケアは、思考・行動・栄養の3方向から
ストレスケアは、思考・行動・栄養の3方向からのアプローチが大切です。
「思考」とは、ものの見かた、考えかたを少し変えたり、感情の整理、負の感情をためこまないようにすること。瞑想/マインドフルネスなどが効果的です。これらの方法は、心をおちつけて副交感神経を優位にすることで、ストレスの軽減ばかりか、腸の働きを促進し、便通を改善する効果があります。
「行動」には、運動、睡眠、呼吸法や入浴法、森林浴ほか、リラクセーションなどがふくまれます。適度な休息や趣味、家族や友人との交流をつうじて、ストレスから解放される時間をもつことも重要です。とくに、心地よいリラックスした時間をすごすことは、ストレスによる腸への負担を減らし、腸の健康を回復させる助けとなります。
こうしたことを、日々の生活のなかで意識的にとりいれることで、心と身体の両方に働きかけ、ストレスによる消化器系の問題を軽減。便秘の改善につながります。
「栄養」に関しては、日々の食生活で、炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよく摂取することを心がけるとともに、ストレス時にとくに不足しやすい、ビタミンC、ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛などを補うことです。
食生活と腸内環境の改善
食事はもっぱらコンビニ弁当とファストフード。おまけにスナック菓子が大好き、なんていっているようでは、便秘にならない方が不思議です。
食べもののカスが長時間にわたって腸内にとどまることを防ぐには、食物繊維の多い野菜やくだものを毎日食べるようにしたいものです。発酵食品もうまく活用しましょう。
水溶性&水溶性食物繊維を両方バランスよく
便秘の予防と解消には、食物繊維を豊富にふくむ食事が非常に有効です。
食物繊維には生理作用の面から不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大別され、いずれも植物性食品の多くにふくまれます。
不溶性食物繊維は水に溶けず、便のカサを増やし、腸の蠕動運動を刺激して便通を促進する役割があります。
主に以下の食物に多くふくまれます。
・全粒穀物(玄米、全粒粉パン、大麦)
・野菜(キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、ニンジン)
・豆類(レンズ豆、ヒヨコ豆、大豆)
・ナッツ類(アーモンド、クルミ)
・種子(チアシード、亜麻仁)
水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、腸内で便を柔らかくする役割があります。また、腸内細菌のエサにもなり、腸内環境の改善に寄与します。消化吸収の改善や血糖値の安定にも効果的です。
以下の食物に多くふくまれます。
・くだもの(リンゴ、バナナ、みかん、ベリー類、アボカド)
・野菜(オクラ、ニンジン、サツマイモ、カボチャ)
・豆類(インゲン豆、エンドウ豆)
・海藻類(コンブ、ワカメ、寒天)
・大麦(オートミール、押し麦)
これら、水溶性と不溶性の両方の食物繊維をバランスよく摂取することで、便秘解消や腸内環境の改善に役立ちます。オートミール、プルーン、リンゴ、ナッツ類、海藻類、全粒粉製品、また、バナナ、ごぼう、タマネギ、ニンニク、アスパラガスなどイヌリンをふくむ食品なども、日々の食事にうまくとりいれましょう。
発酵食品は強い味方
発酵食品というのは、細菌やカビ、酵母などの微生物の働きによって、食材の風味や栄養価が高められた食品(and/or飲みもの)のこと。微生物によって食品が事前消化されているため、消化に負担がかからないということ、また、栄養素が増えるので、健康上さまざまなメリットをもたらしてくれます。
よく知られる発酵食品には、ヨーグルトやケフィア、納豆や味噌、キムチ、ザワークラウト、コンブチャなどがあります。これらは、腸の健康維持にも不可欠なのは当然ですが、抗酸化、抗菌、抗真菌、抗炎症、抗糖尿病、抗動脈硬化活性などなど、多くの健康上の利点があります。
大多数の人にとって発酵食品は、健康、とくに腸内環境にとってよいものですが、人によっては、逆にトラブルが発生す場合もあります。
食物繊維や発酵食品で体調が悪くなる人もいる
腸内環境によい、あるいは、便秘の予防/解消によいといわれる食物繊維や発酵食品を摂取することで、かえって体調をくずす人もいるので、注意が必要です。
過敏性腸症候群(IBS)の人は、これら食品を摂取することで症状が悪化することが明らかになっています。IBSの人には、低FODMAP食が効果あるという研究があります。
低FODMAP食は、オリゴ糖(大豆、オクラ、ごぼう、ラッキョウ、玉ねぎ、ニンニクなど)、二糖類(砂糖、麦芽糖、乳糖など)、単糖類(ブドウ糖、果糖など)、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール)、発酵食品などを控える食事法です。
IBSと診断されている人はもちろん、診断されていなくても、ストレスが強く、便秘や下痢を繰り返している人は、低FODMAP食をためしてみるとよいでしょう。
発酵食品が身体に害に!?
食物繊維で体調不良なら、低FODMAP食を試す?
水分摂取の役割
十分な水分摂取は便秘解消に不可欠です。身体が適切に水分を保持することで、便が柔らかくなり、排便が容易になります。
水道水(高質フィルターを通していない水)はさけ、ミネラルウォーター、アルカリイオン水、天然水などを飲むようにしましょう。便秘解消には、マグネシウムを多くふくむ硬水がおすすめです。
水分摂取の目安としては、成人であれば、起きている時間帯は、良質の“水”を、1時間にグラス1杯とカップ2杯程度のハーブティー、計1.5〜2リットルの摂取が推奨されます。
カフェインのふくまれるお茶やコーヒー、甘味料の多い清涼飲料水などは避け、氷の入った冷たい飲みものもさけます。
また、寝ているあいだに体内にたまった老廃物のスムーズな排泄を促すには、朝起きたら、200ml程度の水(白湯)にレモン半分~1個を絞り入れて、ゆっくり飲むようにすれば、効果大です。
身体活動の増加で腸の蠕動運動を促進
定期的な身体活動は腸の蠕動運動を促進し、便秘のリスクを低減します。とくに腹部の筋肉をつかう運動が有効で、腸の蠕動運動を刺激してくれます。いきなり無理はせず、簡単なストレッチや軽い運動からはじめてみましょう。たとえば、ウォーキングやヨガ、軽いジョギングなどは、おすすめです。これらの活動はストレス管理にも有効ですし、何よりも血流を改善し、腸の健康をサポートします。
ウォーキング
ウォーキングは低強度ながらも全身運動で、腸の活動を促進するのにやくだちます。体全体の血流が改善され、消化器系の機能が向上します。毎日20~30分間程度の速歩を心がけましょう。
ヨガ
便秘に効果的なポーズはいろいろありますが、2種類ご紹介しておきましょう。
◆パヴァンムクターサナ (ガス抜きのポーズ)
- 仰向けになり、両膝を胸にひき寄せ、両手で抱える。肩〜背中全体を床におろし、肩が床から浮かないようにします。
- 頭をもちあげ、肩甲骨を床から浮かせて顎、またはおでこを膝に近づます。このポーズで深く呼吸し、数秒間キープ。
※腹部に圧をかけることで内臓のマッサージ効果があり、便秘解消に効果的です。
◆アルダマッツェンドラーサナ(半魚王のポーズ/ツイストポーズ)
- 足を前に伸ばして座り、右足を反対側の膝の外におきます。
- 左の腕で膝をかかえ、反対の手はお尻の後ろに床をおして背骨を伸ばし、体をうしろにひねります。ゆっくり5~10呼吸。
- 反対の足でも同様に。
※自律神経へ間接的にアプローチ&腸を刺激することで、便秘改善効果を期待できる。
便秘によく効く、爪づかみ(腹筋運動)
便秘をする人は腹筋が弱いといえます。
排便のためにトイレでいきむと、横隔膜(胸部と腹部を分けている筋肉の膜)がさがるとともに腹筋が強く収縮して腹腔(胃・肝臓・腎臓・膀胱などがおさまっている腹部の空間)内の圧力が高まります。その結果、便が体外へ押し出されることになります。
つまり、腹筋が弱いと、腹腔内の圧力を高めることができないので、排便が困難になり、便秘になるわけですね。
そこで、腹筋が簡単に鍛えられて、便秘をその日に解消できるのが、爪づかみ運動。いますぐ、試してみましょう。
⑤ ①~④を1セットとして、1回に8セットを、1日3回がんばってみましょう。
これらのエクササイズは、規則正しくおこなうことでその効果を最大限に発揮できます。毎日のルーチンにとりいれて、便秘の改善にやくだてましょう。
便秘薬/下剤類は、安易に使用しない
手っとり早く便秘を解消しようと、市販の便秘薬や下剤に頼るのは絶対にタブー。薬をつかいはじめると身体はなまけることを覚え、腸の機能はどんどん低下。薬を飲まなければ、便は出なくなります。最初は、便秘薬2粒で便通があったのが、いつの間にか20粒飲んでも出ない、ということになりかねません。
このように、市販薬などで一時的に便秘が改善することがあっても長期的には余計に悪化させている人が少なくありません。ある研究によると、便秘薬の種類によっては、大腸ガンのリスクが40%以上高くなることが示されています。
便秘薬の種類によって大腸ガンのリスクも・・
便秘薬にはいくつかの種類があり、それぞれ異なるメカニズムで便秘の解消を助けます。しかし、便秘薬には短期的な効果が期待できる一方で、使用方法や期間を誤るとリスクをともないます。ここでは、代表的な便秘薬の種類と、そのリスクについて簡単に説明しておきましょう。
◆刺激性下剤: 腸の蠕動運動を直接刺激して排便を促す薬(例:センナ)で、即効性があります。常用すると腸がこの刺激に依存し、薬なしでは自然な排便が困難になります。また、長期間の使用は腸壁を傷つけ、慢性的な便秘の悪化や腸の正常な機能を弱めるリスクが高まります。
◆浸透圧性下剤: 腸内に水分をひき込み、便をやわらかくするタイプで、比較的安全ですが、過剰に使用すると電解質バランスが乱れ、脱水症状や体内のミネラルの異常をひきおこします。
◆塩類下剤: 腸に水分をひき込むことで排便をうながす薬で、比較的即効性があり、短期的には有効です。ただし、長期使用は腎臓への負担が懸念されます。
◆膨張性下剤: 便のカサを増やして腸を刺激する食物繊維系の下剤で、ほかの下剤とくらべて副作用は少なく、長期間の使用も比較的安全です。ただ、使用時には多量の水を摂取することが重要です。
◆便軟化剤: 便をやわらかくして排便を楽にするタイプで、刺激が少なく安全性が高いですが、即効性が低いことが特徴です。
便秘は食事の内容や生活習慣の誤りを反映しています。便秘薬にたよることなく、食生活をふくむ生活習慣の改善を心がけることを考えましょう。
自然療法の活用-ハーブ類、サプリメント他
便秘を自然な方法で解消したい人にとって、プルーンやハーブ類、サプリメントなどが手軽かつ安全な選択肢として人気があります。よくつかわれる自然由来の便秘解消系サプリとその活用法についても、みておきましょう。
プルーンで便秘解消
頑固な便秘にはプルーンが一押し。プルーンは便秘解消に非常に効果的で、プルーンジュースやドライプルーンを定期的に摂取することで、腸の動きを活発にして自然な排便を促進してくれます。
プルーンは食物繊維が豊富であるだけでなく、天然の糖アルコールであるソルビトールがふくまれ、これが緩下作用をもちます。また、プルーンには、フェニルイソクマリンがふくまれ、腸の蠕動運動を刺激し排便をたすけてくれます。さらに、プルーンは腸内の善玉菌の増殖を促進するプレバイオティクスとしての効果もあり、腸内環境の改善にも寄与します。
プルーンは鉄分やそのほかの不足しやすいミネラルも多く、買いおきしておけるのでとっても便利。ミキサーだけでつくれるプルーンジュースは、忙しい朝にもピッタリです。
プルーンジュースのつくり方
材料:ドライプルーン 2個
カップ1杯の水に種をぬいたプルーンを24時間つけておきます。
水ごとミキサーにかけてから、飲みます。
※ プルーンは、いきなり多量につかわず、1~2個から試すようにしてください。
※ 市販のプルーンエキスを水で薄めて飲んでもOKです。
自然由来の便秘解消ハーブ&サプリメント
「自然由来なら安心」、「ハーブ類なら安全」と思い込んでいる人も多いようですが、決してそんなことはありません。刺激性、浸透圧性、膨張性のハーブ類などもあるので、長期間、継続的な使用はさけるのが無難です。
★サイリウム(オオバコの種皮)
食物繊維が豊富な膨張性下剤の一種で、腸内で便の量を増やして腸の蠕動運動を刺激します。シリアル、種子あるいは、パウダーの形状で販売されています。
サイリウムを使用する際は、十分な水分を一緒に摂取すること。水分が不足すると、かえって便がかたくなったり、腸をつまらせることがあるため、1日のうちにコップ8~10杯の水を摂取する必要があります。低血糖の人、薬を服用中の人、妊娠中の人は、摂取をさけます。
★ダンデライオン(タンポポ根)
利尿作用による水分代謝の促進、胆汁分泌の促進、食物繊維の供給、腸内環境の改善、抗炎作用などがあります。これらの作用によって、腸内の動きがスムーズになり、便通が改善されます。
お茶として飲むことほか、チンキや錠剤でも購入可能です。ただ、利尿作用が強いため、長期間の使用や過剰摂取はさけ、適量を守って使用することが大切です。また、胆石、胆道閉塞がある人は使用できません。
★アロエベラ
消化促進と腸の健康をサポートする成分がふくまれています。便秘改善には、アロエビターズ(苦味成分をふくむ液体製品)が効果的です。アロエビターズは、便秘軽減のための自然素材として古くからつかわれてきましたが、2週間以上の使用、また、多量摂取はさけます。アロエビターズやアロエジュースの摂取は、妊娠中、授乳中、また、生理中にはさけます。高血圧の人もさけたほうがいいでしょう。
★プロバイオティクス
プロバイオティクスとは、「人に有益な作用をもたらす生きた微生物」のこと。サプリメントには、乳酸菌とビフィズス菌が主としてつかわれますが、腸内の善玉菌を増やして腸内環境をととのえることで便通が改善されます。
プロバイオティクスは、単体の菌種のものはさけ、複数の菌種を組みあわせて摂ることが大切です。人によって効果を実感できる菌種は異なるので、いろいろな組みあわせを試し、ご自分にピッタリのものをみつけてください。
積極的に腸内環境を改善するには、1日あたりの菌数として500億以上を摂取することが必要です。
★マグネシウム
マグネシウムは、300以上の代謝に関わっているミネラルであり、腸の動きを促進する効果もあります。腸内に水分をひき込み、便を柔らかくするため、自然な排便を促すことができます。
マグネシウムはストレス時にとくに消費が激しいミネラルでもあるので、しっかり補いたいものです。
マグネシウムは吸収しづらいので、キレートまたは、イオン化されたものを選ぶようにします。便秘には、クエン酸マグネシウムがいいでしょう。また、液体のミルク・オブ・マグネシア(水酸化マグネシウム)も緩下剤としてよくつかわれます。
★リーフファイバー(葉物由来の食物繊維)
葉物野菜や緑色の植物から抽出された食物繊維も、便秘解消に効果的です。とくにほうれん草やケールなど、繊維質が豊富な植物を原料としたサプリメントは、自然な形で便通を促進し、腸内の健康をサポートします。リーフファイバーを摂取する際には、バランスのとれた食事と組みあわせることで、効果が高まります。
便秘と関係の深いビタミンCとビタミンB1
便秘改善のハーブ類などを使用する前に、まず、ビタミンCとビタミンB1の摂取を試してみるといいでしょう。
★ビタミンC
ビタミンCの美白効果、抗酸化作用などは有名ですが、ストレス対策としても必須です。また、ビタミンCには腸内にたまった排泄物をやわらかくして、外に出す働きもあります。ちょっと便秘気味というときには、朝起きてすぐ、グラス半分くらいの水に、小さじ1杯のビタミンCパウダーを溶かして飲むようにすると効果的。便秘がひどい人は定期的にビタミンCフラッシュを実践してみてください。
★ビタミンB1
慢性的な便秘や腸の働きが鈍くなっている場合、ビタミンB1の不足が関与している可能性があります。
ビタミンB1は、大腸の蠕動運動を支える筋肉と神経の働きに必要なビタミンであり、不足すると蠕動運動が低下し、便秘につながります。
ビタミンB1は便秘解消に不可欠な栄養素の一つですが、甘いものやスナック菓子、インスタント食品などによってどんどん消耗されます。また、腸内環境の悪化は、B1不足を招きやすいので注意が必要です。
ビタミンB1は豚肉、全粒穀物、豆類、ナッツなどに多くふくまれています。食事で不足しがちな場合は、サプリメントを活用しましょう。
ビタミンB群はグループで一緒に働きますから、ビタミンB1だけの問題ではすみません。サプリメントとしては、ビタミンB群をしっかり摂るようにするとよいでしょう。
ちなみに、大腸壁の粘膜の正常化にはビタミンAが必要。あわせて摂取を考えましょう。
こんな荒技もある、「腸洗浄療法」
腸のなかが汚れているなら、てっとり早く水で洗ってしまおうということで、アメリカでヘルスコンシャスな知識人に2010年頃に一大トレンドになったのがコロニックス(Colonー大腸+Clinicsークリニック)。
コロニックスでは、肛門から直接水とお湯を交互に入れて腸内の洗浄をおこないつつ、セラピストによるお腹のマッサージで蠕動をうながし、腸内にたまった便を根こそぎ排泄させるだけでなく、ウエルネスや美容目的で体内の「デトックス」をはかるもの。日本でもいくつかの施設が登場。人気女優がかよっているということで、当時はかなり話題になりました。
自然療法では、目的に応じて、ぬるま湯のみ、コーヒー、レモンジュース、キャットニップティー、ウィートグラス、ホエイ、プロバイオティクスなどをもちいて、家庭でのエネマ(浣腸)/腸洗浄をすすめるケースが多々あります。
コロニックスに行かずとも家庭で手軽にできるということで、腸内洗浄用セットが販売されています。こうしたエネマ/腸洗浄療法は、自然の摂理に逆らっている、「危険」ということで問題視する医師が当時から多かったとはいえ、ソーシャルメディアやウエルネス系のインフルエンサーにより、いまだトレンドは維持されているようです。
朝の排泄タイムを確保
便通は、大腸の蠕動によっておきるものですから、蠕動があれば便意がおきます。大腸の蠕動が一番よくおきるのは、朝食時と朝食後です。したがって、朝食後にかならずトイレで座る習慣をつけることが、便通の正常化にとって、第一の条件です。
私たちの身体は便意を感じたら、排泄にむかって動きはじめます。ところが、トイレにいく時間的な余裕がなかったり、我慢したりで、排泄できないと、排便のメカニズムが乱れます。すると、腸内の「便がたまっている」感覚が鈍くなってしまいます。
せっかくの便意を見逃すことが重なると、ついには便意そのものを感じなくなります。強い便秘薬などで、「お腹が痛くなる」というようなサインがでないかぎり便秘がつづいてしまうことに・・・。便意を感じなくても、朝きまった時間にトイレで「出す」努力をすることからはじめてみましょう。
リラックスして副交感神経が優位なときのほうが排便はうながされやすいので、排泄タイムには腹式呼吸で緊張をほぐし、副交感神経が優位な状態をつくるといいでしょう。
また、洋式のトイレの場合、20㎝程度の台に足をのせ前かがみのような姿勢をとると、スムーズに排便できます。
「朝は忙しくて…」なんていっていないで、30分早く起きることを心がけ、(せめて15分でもいいので)しっかりトイレタイムの確保を!
まとめ
便秘は、腸のトラブルにかぎらず、肌あれ、痔、肩こり、頭痛などの不快な症状につながります。お腹にヘドロをためておくことは、百害あって一理なし。健康と若々しいボディをいつまでもキープするには、腸を常にキレイに保つことが絶対条件です。
便秘は多くの人々が直面する問題ですが、ホリスティック栄養学に基づいたアプローチにより、自然にそして効果的に改善することが可能です。適切な食事、運動、水分摂取、そしてストレス管理を通じて、健康な消化機能&腸内環境を維持しましょう。これらの習慣が組みあわさることで、便秘をはじめとする多くの健康問題の予防と改善につながります。
- 便秘改善には、ストレス管理がとても大切。ストレスケアは、自律神経のバランスをとりもどし、コルチゾールレベルの適正化を目指すために重要であり、思考・行動・栄養の3方向からのアプローチが効果的。
- 適度な運動、爪づかみ運動を毎日の習慣に。
- 朝は15分でもいいので、余裕をもって起きてトイレに。洋式トイレの場合は、足を20㎝程度の台に乗せ前屈姿勢をとると排泄がスムーズに。
- 目覚めには、白湯をグラス1杯、ゆっくり飲む。(その時レモンを絞った汁を入れると、より効果的)。
- 野菜やくだものを食べる量をふやす。
- ヨーグルトや納豆など発酵食品を積極的にとり、腸内の善玉菌を増やす。
- ヨーグルト(無糖)を毎日500g程度食べるようにするのは、善玉腸内細菌を増やし、自然なお通じをつけるのに効果的。ただし、ヨーグルトにふくまれる菌種は製品によって異なり、人によって最良の菌は違うので、いろいろ試しながら自分にあった製品を見つけてください。
- どのようなものでも、よく噛んで食べる。
- 1日グラス8杯程度の良質の水+2杯程度のハーブティーを。
- 便秘薬は、自然由来のものやハーブ類であっても、刺激性や習慣性があるものもあるので、安易に使用しない。
- プロバイオティクスを摂取するなら、複数の菌種がふくまれている、1日500憶CPU以上のものを選択。
- 正常な腸の働きのためには、栄養素も重要。とくに、ストレス時に消費が多くなる、ビタミンC、ビタミンB群、マグネシウムの確保に気をつかう。
- 頑固な便秘には、定期的な絶食やビタミンCフラッシュを。
腸内環境の整備は美しさと健康のための第一条件。現在便秘で悩んでいなくとも、ここでお話ししたことをご自分のライフスタイルにくみ込み、健康レベルをアップさせるとともに、常に最高の健康をめざしてください。
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あなたが、最高の健康を手にいれ、いつもハッピーでいられますように (^^♪
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