寝床に入ると足/脚がむずむずしたり、不快を感じて寝つけない。軽い痺れのようだったり、足がつったりで、不眠症に陥っているケースも多いようです。むずむず脚の症状が、あなたの不眠の原因になっていませんか?
今回は、なぜ安静にしていると脚がむずむずしてくるのか、その原因やストレスとの関係、症状の軽減/改善法について探っていきたいと思います。
- 不眠症の要因としてクローズアップ
- 足/脚がむずむずしたり、不快感があって眠れない
- 特定の栄養素不足ほか、発症要因はいろいろ
- 中脳に十分に鉄が届かない?
- むずむず脚の症状改善のためのセルフケア
- むずむず脚の改善のために、見直したい習慣
- まとめ
不眠症の要因としてクローズアップ
私は2004年に、「むずむず脚症候群」についての記事をはじめて書きました。当時は1200万人もの米国人の不眠要因として、この「むずむず脚症候群」(Restless Legs Syndrome[RLS]-レストレスレッグシンドローム、ウィリス・エクボム病ともいう)がクローズアップされていました。
むずむず脚症候群の疾患概念の確立は1945年と意外に古く、2003年には国際レストレスレッグス症候群研究グループが診断基準を発表しています。
とはいえ、2004年当時の日本では、「透析患者にみられる症状」ぐらいにしか認識されておらず、一般の人の不眠や身体のなんらかのトラブルと結びつけての話題にのぼることは皆無でした。
私自身、ホリスティック栄養学の勉強をちょうど始めた頃(約30年前)、むずむず脚症候群で悩まされていた時期がありました。授業で「鉄が関係している」という習ったこともあり、医師に相談したところ、「そういう症状については、分かりません」と、簡単に突き放されてしまいました~!
ところが、今回の記事を書くにあたってググってみたところ、845万件もヒットしたことに、まず驚きました。また、「レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)」は“むずむず脚症候群”、“下肢静止不能症候群”とも呼ばれ、主に下肢に不快な症状を感じる病気」(大塚製薬のサイトより)と、ハッキリ「病気」と明記されるようになっていることを知ったのです。
足/脚がむずむずしたり、不快感があって眠れない
むずむず脚症候群はそのネーミングが示すとおり、足/脚がむずむずして不快になる症状がつづくものです。
「ヒザから下がピクピクする」、「虫がはっているような感じ」、「チリチリする」、「長時間正座したあと痺れがとれていくときのような感覚」、「電流が流れているような感じ」、「かきむしりたくなる」、「ほてる」などが発生します。
こうした症状は安静にして、座っているときや、寝床に横になるとでてくるため、寝つけなくなってしまいます。また、脚の不快感から夜中に目が覚めることもあります。
足を動かしたり、起きあがって歩き回ったり、ストレッチなどをしないと症状が消えないので、睡眠が妨げられます。やっと睡眠に入れそうになったとたんに急に足がつったりして、また目を覚ましてしまうようなことも、むずむず脚症候群の人には多いようです。
むずむず脚症候群の診断は難しい?
日本人のむずむず脚症候群の患者数は、人口の2~4%、200万人から400万人といわれます。痛みがあるわけではないため、「足がむずむずする」程度の症状で病院に行く人は、あまりいないでしょう。
むずむず脚が気になって不眠症に陥り、何日もまともな睡眠を得られなくなって初めて医師に助けを求める人がほとんど。ですから、実際に、むずむず脚症候群で悩んでいる人は、表面上の数字よりず~っと多いでしょうね。
※ 欧米では人口の10%程度がむずむず脚症候群で悩んでいるといわれます。
むずむず脚症候群は医師が患者さんの症状を聴きとって診断しますが、脚の感覚異常の以下4つの特徴が診断基準になっています。
1 脚の不快な感覚によって、脚を動かしたくてたまらなくなる
2 じっと安静にしていると異常な感覚がでてきたり、または悪化する
3 脚を動かすと、不快な感覚がやわらぐ
4 夜間になると症状が強くなる
むずむず脚症候群は、客観的な医学的データでの診断ができないため、医師でも、なかなか診断は難しいといいます。また、間違われやすい他の病気―不眠症、うつ病、坐骨神経痛、皮膚疾患など―と区別するためには、補助的に検査が必要になるケースもあります。
特定の栄養素不足ほか、発症要因はいろいろ
むずむず脚症候群は、男性に比べ女性のほうが1.5倍程度多いといいます。発症率は中高年以降に多くなるとはいえ、発症時期は年齢に関係ありません。10~20歳台で症状がではじめても自覚せず、その後、高齢になって症状が強くでるようになり、睡眠障害につながるケースがほとんどといいます。
明確な原因やメカニズムは解明されていない
むずむず脚症候群の明確な原因はわかっていません。
むずむず脚症候群を起こす要因としては、鉄やマグネシウム、葉酸の不足、アルコール、カフェイン、抗うつ剤ほか特定の薬剤使用、貧血、胃の手術、慢性血行不良、静脈瘤ほか、さまざまなことが指摘されていますが、三大要因として、
1 神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン)の機能低下
2 脳内の鉄欠乏
3 遺伝的背景(家族の病歴)
が、あげられています。
神経伝達物質(ドーパミン・セロトニン)の機能低下
ドーパミンの分泌量減少によって起きる病気としてパーキンソン病が知られますが、パーキンソン病の患者には、むずむず脚症候群の症状が見られます。
また、抗うつ剤の副作用として、むずむず脚症候群が生じることも…。抗うつ剤にはセロトニンの分泌を促がしたり、神経細胞内への再取り込みを抑制する作用があるのですが、こうした作用によりセロトニンのバランスが崩れて、むずむず脚症候群を引き起こすのではないかと考えられています。
神経細胞も、神経伝達物質も栄養素でできている
神経細胞はもちろん、ドーパミンやセロトニンのような神経伝達物質も、その原材料は栄養素です。また、これらの代謝にも、さまざまな栄養素が関わっています。
ストレス時には多くの栄養素が消費され、神経伝達物質づくりや、神経細胞の働きに関わる栄養素も消費され、不足してきます。とくに慢性ストレスにおいては、セロトニンやドーパミンに関わる栄養素も枯渇してきます。そのため、神経細胞が本来の仕事をまともに熟せなくなり、むずむず脚のような症状がでてきても、何の不思議もありません。
ちなみに、L-フェニルアラニン(アミノ酸の一種)から、ドーパミンづくりの過程では、鉄、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6が必要になります。また、L-トリプトファン(アミノ酸の一種)からセロトニンをつくる過程でも、鉄、葉酸、ナイアシンとビタミンB6が必要になります。これら1つの栄養素でも不足すれば、ドーパミンづくりもセロトニンづくりにも支障がでてきます。
栄養療法の観点からいうと、むずむず脚症候群のように「原因がハッキリしない」、「すべての患者に一貫して効果がある治療法がない」という身体的トラブルは、まずストレスケアとともに、生活習慣の見直し、そして適切なビタミンとミネラルの補給/確保をすることが、症状改善の早道です。
中脳に十分に鉄が届かない?
鉄欠乏性貧血も、むずむず脚症候群の原因の1つと考えられています。
むずむず脚症候群に鉄不足が関わっていることは、診断基準が発表される大分前から推定されていましたが、2003年6月、ペン州立医大学とジョンホプキンズ大学の研究チームによる脳の解剖研究によってはじめて、中脳の一部(ドーパミンをつくる細胞)が鉄不足に陥っていることを突きとめました。
であれば、単純に鉄を補えば良さそうですが、そう簡単な話しではありません。むずむず脚症候群の患者は、鉄輸送のための特定レセプターが欠如していて十分な鉄を摂取しても中脳の細胞に届けるメカニズムがうまく働かないのだといいます。脳細胞が生きるために必要最低限の鉄しか確保できず、鉄不足のため最高の状態で働けない細胞は誤った神経シグナルを送り、足のむずむず感を発生させると…。
鉄サプリメントはむずむず脚症候群の症状改善に効果的?
とはいえ、鉄欠乏性貧血や血清フェリチン値が低い人が鉄剤を摂取することで、むずむず脚症候群の症状の軽減やそれにともなう不眠が解消されることは、よくあります。
医師に「鉄欠乏」やフェリチン値の低下を指摘されている場合は、処方される鉄剤、あるいは、「ヘム鉄+ビタミンC」や「キレート鉄(日本のサプリにはないので米国のサプリ)」を摂取するといいでしょう。
ただ、素人判断で鉄サプリに手をだすのは控え、次項でお話しする食事からとることを心がけたいもの。鉄の使い方は、実はとても難しく、私たち栄養の専門家でも鉄サプリを使うのは最後です。というのも、鉄は大変反応性が高い性質をもっており、活性酸素の発生源になり、細胞膜の酸化をはじめ、さまざまなトラブルの元になるからです。
また体内に炎症があれば、鉄の代謝はストップしますから、鉄を補っても意味がありません。まず炎症を治さなくては…。
むずむず脚の症状改善のためのセルフケア
むずむず脚症候群のハッキリした原因は分かってはいないとはいえ、あなたのライフスタイルとむずむず脚の症状発生頻度との間に関係があることは、多くの研究者が指摘しています。
まず何があなたの症状の原因になっているのか探ろう
人によっては、甘いものを食べすぎた時や、コーヒーやアルコールを飲んだ時、あるいはキツイ服を着ていた日の夜に症状がでやすい、ということがあるかもしれません。
自分の生活習慣を振り返り、何がむずむず脚を引き起こしているかを把握することから始めましょう。飲酒や喫煙、不規則な食生活、特定の薬の影響、ストレスなどが引き金となり、むずむず脚の症状が引き起こされているはずです。ライフスタイルをみなおし、できるところから改善していきましょう。
ストレスケアは、どんな場合も最優先
前述のとおり、ストレスは多くの栄養素を消費していきます。そのため身体はより多くの栄養素を要求するようになります。ところが、ストレス時には消化吸収力が低下、腸内環境も悪化することから、適切に栄養素を確保することが難しくなります。こうしたことが、むずむず脚症候群の症状の発生や悪化につながります。
ストレスケアは、思考・行動・栄養の3方向からのアプローチが大切です。物の見方、考え方を少し変えたり、負の感情を貯めこまないようにすること、呼吸法、瞑想、運動、リラクセーションなどをうまくとり入れながら、ストレスを管理しましょう。
思考や行動からのストレスケアは重要ですが、栄養のこと抜きでは効果は限定的です。最低でも、ストレスで消費されやすい栄養素をしっかり補うことを考えてください。
不足しやすい栄養素を補う
鉄
ストレスは胃酸の分泌を抑制します。胃酸不足では、鉄は体内に吸収されません。鉄欠乏を防ぐにも、ストレスケアが必要な所以です。
ストレスのほかにも、胃の切除、ピロリ菌感染、胃酸分泌抑制剤の使用によって胃酸分泌量は低下します。胃酸不足で鉄の吸収が悪くなり、鉄欠乏症貧血になれば、当然、むずむず脚症候群にもつながりやすくなる~!
鉄の補給をサプリメントで考えるのは後にして、まずは日々の食生活で鉄不足にならないよう気をつけましょう。
- 鉄分を多く含む食品を十分量確保する
肉類、赤身の魚や貝類、小松菜、ほうれん草、枝豆他
※調理に「鉄なべ」を使うのもいいですね。 - 鉄の吸収を阻害する飲み物/食べ物を控える
[タンニン]が含まれるコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶など
[リン酸塩]が含まれるスナック菓子や清涼飲料水 - 鉄はとることだけでなく、吸収に目を向ける
・すでに触れたとおり、胃酸不足では、鉄は吸収されません。あなたの胃酸、十分に分泌されているでしょうか?
・鉄の吸収を促進するには、ビタミンCと一緒にとるのがベスト。鉄分の多い食品を食べるときには、ビタミンCの多い果物を添えるようにするといいですね。
葉酸
むずむず足症候群と睡眠障害は、葉酸不足が関わっているという研究もあります。とくに、むずむず脚症候群の病歴がある家族(遺伝的要因)がいる人は、1日5-10 mgの葉酸の摂取が効果的とされます。かならず、ビタミンB12(500~1000㎎)と一緒にとるようにします。
なお、てんかんがある人は、葉酸サプリの摂取は医師と相談が必須です。処方薬との相性があり、人によっては発作につながります。
マグネシウム
神経伝達がうまくいかなくなるさまざまなトラブルにおいては、マグネシム不足が疑われます。長引くストレスによって足がつりやすくなるのも、マグネシム不足の典型的なサインです。
マグネシウムは、体内で300種類以上の代謝に関わっており、身体が正常に機能するために欠かすことのできないミネラルです。マグネシウムは、とくに神経や筋肉の機能や健康的な免疫機能維持に必須です。マグネシウムが不足することで、神経インパルス電動、筋収縮、筋けいれんなどのトラブルが引き起こされます。
マグネシウムサプリメントがむずむず脚症候群の症状を軽減できることが示唆されることから、自然療法や代替療法においては、マグネシムのサプリメントが治療につかわれます。むずむず脚症候群の改善のための摂取にはクエン酸マグネシウムがベストとされます。
マグネシウムも、経口摂取では吸収が難しいミネラルの1つです。こうしたことから、お風呂にエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を溶かして、20分程度浸かることで経皮吸収を試みる方法もすすめられています。
ビタミンD
ビタミンD不足もむずむず脚症候群に関与しているといいます。2014年の研究によると、むずむず足症候群の患者で、ビタミンD不足の人に対して、ビタミンDのサプリメントを摂取させたところ、症状の軽減がみられたといいます(不足している栄養素を補えば、症状が改善するのは、あたりまえの話しですが・・)。
いくつかのビタミン&ミネラルを一緒に摂取
身体に発生するどのようなトラブルであっても、1つ特定の栄養素だけが関わっているということはありません。体内では、いくつもの栄養素が互いに助け合いながら代謝を実現していきます。何か1つの栄養素だけ補えば症状が改善するということはなく、特定の代謝過程で必要になるすべての栄養素を確保しない限り、良い結果に結びつくわけがありません。
米国で長年ベストセラーをつづけている自然療法のバイブルともいえる、“Prescription for Natural Healing”(自然治癒の処方箋)では、 むずむず脚症候群や足がつりやすい人には、下記のサプリメントをすすめています。
それぞれ、1日の摂取量として:
・Bコンプレックス 400mg
・マグネシウム 1,000mg
・ビタミンC 500mg~1,000㎎
・ビタミンE(天然) 400IU
・マルチミネラル(カルシウム・マグネシウム・カリウム・亜鉛を適切に含むもの)
これら栄養素は、ストレス時にとくに必要になる栄養素でもあります。こうした栄養素を適切に補うとともに、適切なストレスケアを心掛けましょう。
むずむず脚の改善のために、見直したい習慣
健康的な食生活を心がけよう
むずむず脚症候群の解消のためには、健康レベルの向上が必要です。ストレス時には、高脂肪・高糖質のジャンクフードなど、健康食からほど遠い食品を欲するようになります。ストレスケアに目を向けつつ、‟健康的な”食習慣に切り替えていきましょう。
健康的な食事の基本といえば、加工食品を極力避け、新鮮なフルーツや野菜を多く食べる、ナッツ類・種子類・豆類を食生活にとり入れる、高脂肪・高糖質食品を避け、鉄・葉酸・マグネシウムをはじめ、ビタミン&ミネラルの多い食品を選択する、眠りを妨げる食品/飲み物を排除する、などですね。
一度の食事で食べ過ぎない、寝る3~4時間前には食事を済ませ、寝る直前の夜食は避ける、なども心掛けたいことです。
グルテンが問題になっているケースも
人によっては、グルテンフリーを実践することで、むずむず足症候群の症状が改善するケースもあります。グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質で、パンや焼き菓子、調味料、ドレッシング、スープ他、多くの食品に含まれます。
グルテンがむずむず脚症候群の発生に関わっているという科学的エビデンスはありません。しかし、グルテンがあなたの症状に関与していると感じているなら、数週間グルテンを排除してみて、症状が改善するか確認してみましょう。
グルテンは、腸内環境の悪化に関与することが多いといえます。また、腸内環境は神経伝達物質とも深い関わりがあります。こうしたことから、グルテンがあなたのむずむず足症候群の症状に関わっている可能性は大いにあるといえます。
嗜好品には注意!
コーヒー、紅茶、エナジードリンク、チョコレートなどカフェインを含む食品や飲み物は神経を刺激し、むずむず脚症候群の症状を悪化させる可能性があります。なるべく避けましょう。
アルコール、タバコもマイナス作用することが報告されています。甘い飲料水や菓子類、スナック菓子なども避けることがすすめられます。
健康的な食生活、栄養素の補給、嗜好品などの排除とともに、むずむず脚症候群の改善にプラスに働いてくれる生活習慣を確認しておきましょう。
運動習慣で、むずむず足症候群の症状が40%減!
運動習慣といっても、激しい運動をする必要はありません。ウォーキングやジョギング、その他、どのような運動であっても、症状の軽減に役立ち、また、よく眠れるようになります。
むずむず脚症候群の人にとくに良いのがヨガです。Journal of Alternative and Complimentary Medicineに掲載された研究によると、むずむず脚症候群の症状をもつ女性は、ヨガを実践することにより重篤な症状から解放され、ストレスの軽減とともに、より良い気分、睡眠の質の向上などが報告されています。
別の研究では、ストレッチが透析患者のむずむず脚の症状を有意に緩和したとしています。
また、国立衛生研究所の研究では、有酸素運動と下半身のレジスタントトレーニングを週3回12週間おこなうことで、むずむず足症候群の症状が軽減したことが報告されています。
激しい運動は逆効果になるので避け、あくまでも適度な運動を心がけることが大切です。簡単にできるストレッチやヨガを日々のルーティンに組み込めるといいですね。
運動については、こちらを参考に…。
睡眠習慣の改善-睡眠を阻害する要素は排除
良い睡眠習慣は誰にとっても大切ですが、とくにむずむず脚症候群で、睡眠を邪魔されているあなたにとっては重要です。
睡眠習慣を改善することで、むずむず脚症候群による身体への悪影響の一部を相殺することが可能です。良質の睡眠のためのヒント満載の下記記事をしっかり読み、できることから実践してみてください。
マッサージや温冷交代浴も効果的
就寝前に足浴、温冷交代浴、脚のマッサージ(さする)なども、むずむず脚症候群の改善に効果的とされます。
脚のマッサージ
アメリカ国立衛生研究所のような多くの保健機関は、家庭でのむずむず脚症候群のケアとして、マッサージを勧めています。マッサージの治療効果をバックアップする研究は少ないとはいえ、ケーススタディなどで、そのメリットは示されています。
2007年のケーススタディでは、45分間の脚のマッサージを週2回、3週間継続。その間の症状が劇的に軽減。2回目の施術から症状の緩和を実感し、期間終了してからも2週間は、むずむず脚の症状は戻らなかったとのこと。
この研究の著者は、「マッサージによってドーパミンの放出が増加したことが、むずむず脚症候群の症状緩和につながったのではないか」としています。マッサージは、血液循環を良くすることがわかっているので、その影響の可能性が大きいでしょう。
また、「メドマー」のような空気圧圧縮マッサージャーが、むずむず足症候群に効果的であることや、睡眠の質を著しく改善することが、いくつかの研究で明らかになっています。
温冷交代浴
熱(高温と冷温)を利用することによって、むずむず脚症候群の症状緩和効果を裏付ける研究は少ないものの、米国の多くの医療機関は温冷交代浴を推奨しています。その中には、レストレスレッグス・シンドローム財団も含まれます。
方法としては、寝る前に熱いお風呂と冷水のお風呂に交互に入る、あるいは、脚のみ、温冷交代浴(温冷パック)をします。
ここでは、簡単にできる脚のみの温冷交代浴のやり方をお伝えしておきましょう。
40℃の湯に3分間ひざ下だけつかった後、水シャワーを10秒間。これを湯→水の順番で5回くり返し、最後は水で仕上げます。
いかがでしたか? むずむず脚症候群の症状を軽減/改善するためにご自分でできることは、思っていた以上に多くあったのではありませんか?
まとめ
- むずむず脚症候群は、レストレスレッグス症候群(シンドローム)、ウィリス・エクボム病とも呼ばれれ、脚の不快感から、睡眠不足につながることが多い。
- むずむず脚症候群のハッキリした原因は分かっていないが、1) 神経伝達物質の機能低下、 2) 脳の鉄不足、 3) 遺伝的要因が、三大要因と考えられている。ただ、これらすべてに栄養素の不足が関わっていることから、ストレスケアとともに、生活習慣の見直し、そして適切なビタミン・ミネラルの補給/確保が、症状改善の早道である。
- むずむず脚症候群には鉄欠乏が関わっているケースが多い。とはいえ、医師に鉄欠乏性貧血やフェリチン値の低下などの診断を受けていない限り、安易に鉄サプリメントに手をだすことはせず、食事で鉄分の多い食品を選ぶと同時に、吸収にも気を使うようにする。
- ストレスで消費されやすいマグネシウムや葉酸、B12などを補うだけでも、むずむず脚症候群の症状改善にプラスに作用してくれることが多い。ただ、これらはあくまでも対処療法的なサプリ利用なので、根底にある問題を探しだし、そこにアプローチしていく必要がある。
- アルコール、カフェイン、タバコなどの嗜好品や高脂肪・高糖質のジャンクフード、加工食品などは控え、新鮮な野菜や果物の多い健康的な食生活、適度な運動、よい睡眠習慣を身につけることは、むずむず脚症候群の症状の軽減/改善に不可欠である。
- 持病を抱え処方薬を服用している場合、薬の影響でむずむず脚の症状がでている可能性やサプリメントとの相性などもあるので、担当医に相談すること。
あなたが、最高の健康を手にいれ、いつもハッピーで、ありますように...。