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機能性表示食品は効果ある?特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品との違いは?

機能表示食品とは?特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品との違いは?

紅麹サプリメントの問題が発覚してから、「機能性表示食品」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

機能性表示食品制度がスタートして9年。紅麹サプリメント問題は、この制度の運用や監視体制に改善の余地があることを浮き彫りにしました。

本記事では、今、もっとも注目されている「機能性表示食品」制度についてはもちろん、多くの消費者が混同しているであろう特定保健用食品(トクホ)との違い、さらに、栄養表示食品や一般の健康食品との違いなどについて詳しくお伝えしていきます。

国は5月末をメドに機能性表示食品制度の見直しの方向性を決定することになっています。これについても最後に触れます。

機能性を表示できる食品は限られている

一般の健康食品/サプリメント市場は多様化しており、多くの消費者は、日常の食事から健康を維持・増進することを期待して、さまざまな健康食品を選んでいます。

日本の制度では食品(健康食品をふくむ)は医薬品などと区別され、食品はさらに「一般食品」と「保健機能食品」に分けられています。

一般の健康食品(一般食品)

日本では、健康食品やサプリメントに法律的や行政的な定義はありません。

栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、サプリメント、○○ハーブ、といった表示で販売されている、いわゆる健康食品は、「一般食品」に属します。

これらは、通常の食事として消費されるものということで、特別な健康効果を謳う、あるいは、特定の保健効果/機能性の表示は許可されていません

したがって、一般食品扱いの健康食品/サプリメント類は、「○○にいい」、「△△に効果的」というような、機能性の表示や、「××の人におすすめ」みたいな、PRは一切できないということです。摂取タイミングの表示などもできません。

とはいえ、巧みなPR戦術で、普通の製品とは異なる素晴らしい効果/作用があるかのように期待させて売りあげをのばしている製品も市場には多く出まわっています。

消費者が正しい知識を身につけて、適切な選択をすることが求められます。

 

「保健機能食品」には、3つの区分

保健機能食品には、3つの区分

「一般食品」が機能性の表示や効能をPRすることができない一方、「保健機能食品」であれば、それらが可能になります。

「保健機能食品」は、健康の維持や増進に役立つ食品を示すための制度で、日本の厚生省(現在の厚生労働省)が、1991年にはじめて制定したものです。(現在は、消費者庁が管轄)

「保健機能食品」には、一定の条件を満たすサプリメント、加工食品、生鮮食品などがふくまれます。

機能性の表示が許可されている、「保健機能食品」には、「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の3つのカテゴリー(区分)があり、機能性の表示許可範囲/内容は、それぞれの区分によって異なります。

今回問題になった紅麹サプリメントは、「機能性表示食品」の一つでした。

多くの消費者は、機能性表示食品と「特定保健用食品(トクホ)」が同じもので、「国のお墨つき」がある製品と勘違いしていたようです。でも、この2つは全く異なる制度。特定保健用食品(トクホ)が、厳しい審査⇒認定をうけなければならないのに対して、機能性表示食品は、企業が届け出をすればOKという大きな違いがあるのです。

まずは、特定保健用食品(トクホ)についてみていきしょう。

 

「特定保健用食品(トクホ)」が、まずスタート

特定保健用食品(トクホ)がスタート

1991年に保健機能食品の制度が定められ、まず「特定保健用食品(トクホ)」の制度がスタートしました。これは、特定の食品の機能性(効果)や安全性を国が個別審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可します。

※この制度のスタート当時は、厚生省が管轄で、その後2001年に厚生省と労働省が統合して厚生労働省が設立されると、管轄はそのままひき継がれ、厚生労働省が担当。2009年に消費者庁が設立されると、トクホの審査・許可の管轄は消費者庁に移管。現在、特定保健用食品(トクホ)の許可は消費者庁長官がおこなっている。

特定保健用食品(トクホ)は、科学的な根拠に基づき消費者庁の厳しい審査と承認プロセスを経て、具体的な健康効果があると証明/認定された成分をふくむ食品です。たとえば、血圧の上昇を抑える効果や、コレステロールの吸収を低減する効果が認められるなどです。

特定保健用食品(トクホ)は、「国のお墨つき」

特定保健用食品(トクホ)の認定プロセスは厳格で、多くの段階を経ておこなわれます。

製品の保健効果を証明するためには、高品質な臨床試験や研究データが必要になります。これらのデータは第三者機関によって評価され、その科学的根拠が確認されます。

製品の安全性も厳しくチェックされます。成分や製造プロセスが安全であることを証明するために、詳細なデータの提出が要求されます。これらのデータは、消費者が安心して製品を使用できるようにするための重要な要素ですね。

製品のパッケージに表示される保健効果の文言も厳しく審査されます。これにより、消費者に誤解をあたえないよう、正確かつ適切な情報が提供されることが保証されます。

これらのプロセスを経て、消費者庁から正式に認可を受けた製品のみが、「特定保健用食品(トクホ)」として、トクホのマーク(片足あげてバンザイしているようなマーク)をつけて販売できることになります。トクホ製品は厳格な審査プロセスを経ているため安全性と有効性について国の「お墨つき」があるといえるわけですね。

ただ、ここで気をつけなければならないのは、「お墨つきがある」といっても、あくまでも、「食品」であるということ。「特定保健用食品(トクホ)」は、食品であり、医薬品とは異なります。病気を治す目的で使用することでの効果が認められているわけではなく、治療効果を期待するものではなということを、きちんと認識しておく必要があります。

 

発ガン性成分に変換されることが判明しても…

食用油に発ガン性成分に変換されることが判明しても・・

厳しい審査を通過しているからといって、100%信頼できるかといったら、そうともいいきれないかもしれません。

過去には、「特定保健用食品(トクホ)」の表示許可がとり消された事例もいくつかあります。

たとえば、1999年に食用油としてはじめて特定保健用食品(トクホ)の認定をうけ、「体脂肪をつけにくくする健康油」の代表でもあった、花王の「エコナクッキングオイル」や同シリーズのマヨネーズ、ドレッシングオイルなど59商品が、認定から10年半後の2009年に出荷・販売の自粛、特定保健用食品(トクホ)のとり消しになったということがありました。

花王は、エコナを製品化する過程で実施した安全試験で「問題ナシ」との結果を得ていたものの、2003年には、主成分であるDAG(ジアシルグリセロール)の発ガン促進作用の有無が審議されるようになり、さらに発がんに関わる不純物、「グリシドール脂肪酸エステル」が通常の植物精製油の約100倍も多くふくまれていることが判明しました。これは、深刻な健康リスクを示すものでしたが、特定保健用食品(トクホ)がとり消しになることもなく販売はつづけられました。

消費者団体が、消費者庁、厚生労働省、花王に対してエコナの特定保健用食品としての許可とり消しや、販売の停止を求める要望書を提出。一般消費者からの安全性に対する懸念や不安をもつ声は高くなり、2009年9月になってようやく製品の出荷停止や自主回収がおこなわれました。そして、特定保健用食品(トクホ)認定の返上も...。

トクホなのに、有効性分がふくまれていなかったことも

トクホなのに、有効成分がふくまれていなかったことも...

また、2001~05年に特定保健用食品(トクホ)として許可された、「ペプチド茶」、「豆鼓エキスつぶタイプ」などの6製品は、2014年9月に、製品に有効成分がふくまれていない(または表示の100分の1程度)ことが判明。その後、業者は、2年以上も報告をせずに販売をつづけ、2016年にトクホのとり消しになりました(2011年8月以降、有効成分の試験検査もしていなかったことも判明)。

特定保健用食品(トクホ)がとり消しになった後も、この業者は、特定保健用食品の表示、そして、トクホマークの使用をつづけて販売をしていたのです(2017年2月に課徴金納付命令)。

こうした問題をうけて、消費者庁は、特定保健用食品(トクホ)の審査や監視体制の強化を図ってきているので、信頼度は高くなっているでしょう。

ただ、いくら厳密な審査をしようと、特定の製品にふくまれているすべての成分をくわしく調べているわけではありませんし、トクホ後に何らかの問題が発覚しても、すぐに回収にならず、何年も市場にでまわりつづけるということもあり得ます。

さらに、どのような食品であっても、100%の人が何の問題もなく安心して摂取できるとはかぎりません。私たちの身体は一人一人異なりますし、特定の食品が体内に入ってからどう作用するか、代謝については人それぞれだからです。

消費者はトクホをはじめとする保健機能食品を選ぶ際には、単に表示された情報だけでなく、その製品が本当に自分の身体にあっているものなのかを慎重に確認する必要がありそうです。

「栄養機能食品」誕生で、業界が沸いた!

特定保健用食品(トクホ)の認定には、製品の開発から認定取得までに数年、費用的には数千万円から数億円かかります。こうした高額な費用と数年かかるといわれる長い審査期間は中小企業にとって大きなハードルとなり、特定保健用食品(トクホ)の申請・認定件数は、さほどのびなかったといえます。

こうしたことを背景に、特定保健用食品(トクホ)のスタートから10年後の2001年、「栄養機能食品」制度が導入されることになりました。

栄養機能食品の制度は、特定保健用食品(トクホ)のように申請して認定を受ける必要はなく、届け出もなしで、メーカーの自己認証制。これにより、中小企業でも、特定の栄養成分の効果を表示した製品を市場に提供できるようになりました。

栄養機能食品は、機能性表示食品とはまったく異なる

栄養機能食品は、”効かないサプリ”?

栄養機能表示ができるようになったとはいえ、メーカー側が健康食品やサプリメントの作用/効果などを自由に表示したり、宣伝できるようになったわけではありません。

栄養機能食品の制度においては、13種類のビタミン(A,D,E,K,B1,B2,ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、C)と、6種類のミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛)について (現在は、n-3系脂肪酸も追加)、当時の管轄だった厚労省(現在は消費者庁管轄)が、栄養機能表示が許可される具体的な文言を定め、標準化しました。

たとえば、ビタミンAであれば、
「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です」

・ビタミンCなら、
「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」

・カルシウムであれば、
「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」

・鉄:
「鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です」

など、など・・・。

このように、それぞれのビタミンやミネラルについて表示できる文面がきめられており、これら以外の表示はできません。

さらに、こうした表示をするには、注意喚起文もいれなければなりません。たとえば、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の 摂取目安量を守ってください」というような文面です。

非常にかぎられた表現の表示しかできない、しかも、注意喚起文を栄養素ごとに決められた文章をいれなければならない。さらに、バランスの良い食事の啓発などの表記も義務づけられている・・・。

にもかかわらず、それまで製品の作用について消費者に伝える手段が一切なかったため、栄養機能食品制度の導入が決まったときには、健康食品/サプリ業界は、それこそアリの巣をつついたような騒ぎになりました。

なにせ、基準さえ満たしていれば栄養機能の表示ができるのですから、栄養機能の表示をするために各メーカーは、どんどん“効かないサプリ”を市場に送りだすことに…。

栄養機能食品は、“効かないサプリ”?  

栄養機能食品は、個別に消費者庁の許可をうける必要がありません。国が定めた栄養成分の規格基準に適合すればそれでよく、許可申請や届け出などもまったくナシ。メーカーの自主責任で「栄養機能食品」と表示し、その栄養成分の機能の表示ができるのです。

栄養機能食品には、ビタミン・ミネラルなどの栄養素がある一定量ふくまれている必要があります。当然ですよね。でも問題は、1日分としての含有量の上限がかなり低く設定されていること。

日本の薬機法では、効果があるものは医薬品で、ないものが食品。食品は、人体に効果がないというのが大前提。“効いてはいけない”のですから、食品であるサプリメントに、「身体に効果があるほどの栄養素を含有させない」というのは、当然でしょう。

あまりにも低い栄養素量の上限

栄養機能食品の上限がいかに低いか、いくつか例をあげてみましょう。

ストレスの多い生活をしている普通の人が、病気を予防し、理想的な健康を保つのに必要なビタミンB12の1日の目安量は、200~400mcgとされます。でも、栄養機能食品には、たった、0.8~60mcg範囲での含有しか認められません。

葉酸は、「胎児の正常な発育に寄与する栄養素」。妊婦の摂取量が1日400mcgを下回るとダウン症や知能遅れの出生率が高まると、世界中の多くの研究家が発表しています。でも、日本で栄養機能食品として認められるためには、1日摂取量の上限は200 mcgとされています。

「栄養機能食品」というカテゴリーができてから、栄養機能を合法的に宣伝できるよう、健康食品業者は、こぞって指定栄養素の含有量の少ない製品づくりをするようになったといえます。期待する効果が望めない摂取する意味もあまりない製品であっても、栄養機能を堂々とラベルに表示するほうが売れるし、CMで宣伝するにも有利です。

ちなみに、近年実践する医師が増えてきている「栄養療法」(オーソモレキュラー医学/栄養学)においては、ビタミンなどの多量摂取や吸収率をあげるための工夫をしたミネラルが必須です。しかしながら、日本のサプリは含有量が低すぎ、また、吸収率への配慮はまったくない(というより、許可されない)ため、これらを使用することはできず、海外の製品に依存するしかないのが現状です。

 

「機能性表示食品」がトクホにとってかわった?

機能性食品がトクホにとってかわった?

栄養機能食品制度の導入から14年後(トクホ誕生から24年後)の2015年には、「機能性表示食品」制度が導入されました。これは安倍晋三元首相の経済成長戦略、「アベノミクス」の一環として創設された制度です。

米国のダイエタリーサプリメント制度を参考に設計

「栄養機能食品」は、特定のビタミンやミネラルに限られており、それ以外の健康成分(食物繊維、ポリフェノール、乳酸菌ほか)についての情報提供の場はありませんでした。「特定保健用食品(トクホ)」の申請/認定には、莫大な費用と年数がかかり、大手企業でないと利用ができません。これらの制度を補完し、消費者が科学的根拠に基づいた健康効果を期待できる製品を選びやすくするため、また、中小零細企業でも容易に参入できるよう、米国のダイエタリーサプリメント制度を参考に設計されたのが、「機能性表示食品」制度です。

海外では、食品の健康効果に関する表示が一般的であり、国際的な市場との整合性を図るためにも、日本国内でもより柔軟な健康機能の表示が求められていました。

狙いどおりに市場規模は急拡大。現在、特定保健用食品(トクホ)の参入業者数が130数社にとどまっているのに対し、機能性表示食品の参入業者は、1,700社(製品数は約6,800)を超え(市場規模は7000憶円)ています。

そして、この「機能性表示食品」こそ、消費者の誤解を招いている区分です。多くの消費者が機能性表示食品を、特定保健用食品(トクホ)と混同し、「国のお墨つき」があると勘違いしているからです。

国は、「機能性表示食品」の審査も認可もしない

機能性表示食品は、「食品」に分類される「保健機能食品」の中のひとつの区分で、健康の維持や増進に役立つという食品の特定の保健効果(「おなかの調子を整えます」、「脂肪の吸収をおだやかにします」など)を、「科学的根拠に基づき、表示することが許可された食品」です。

こういうと、「特定保健用食品(トクホ)と同じではないか」、「何がトクホと違うの」と思うかもしれませんね。

特定保健用食品(トクホ)が、消費者庁の厳しい審査をうけて認定されてはじめて市場にでるのに対し、機能性表示食品は、事業者が自己責任で科学的根拠をもって消費者庁へ届け出るだけで、製品の市場導入ができるのです。

つまり、機能性表示食品は、開発した企業の責任のもとで売られる製品であり、国の審査は不要で、届出だけでいい点が大きく特定保健用食品(トクホ)と異なります。つまり、機能性表示食品に、「国のお墨つき」は、ないということです。

「機能性表示食品」の科学的根拠(エビデンス)の質は低い?

特定保健用食品(トクホ)の認定には、高度な科学的根拠が必須です。具体的には、製品の効果を証明するためにおこなわれた厳密な臨床試験や研究が必要であり、その結果を第三者機関が評価します。

一方、機能性表示食品の場合、企業は科学的根拠を提出する必要がありますが、その評価は企業の責任でおこなわれます。消費者庁は提出されたデータを基に表示の適正性を確認しますが、特定保健用食品(トクホ)ほど厳格な審査基準はありません

このため、機能性表示食品は特定保健用食品に比べて認可が迅速である一方、科学的根拠の厳密さについては企業の自主性に依存するため、第三者から質の低さを指摘されることも多いといえます。

しかし、機能性表示商品だからといって、かならずしもエビデンスの質が低いとはいいきれません(実際、低いものも多いのですが...)。

機能性表示食品(トクホ)は基本、対象商品だけによる1つの臨床試験での承認ですが、機能性表示食品では文献のシステマティックレビューを用いており、多くの報告に基づいたエビデンスも存在します。メタ解析によるレビューのケースもあり、実際にはエビデンスレベルがとても高い届け出もあります。

「機能性表示食品だから低い」というより、あくまでも企業側のスタンスによるということですね。

「機能性表示食品」の透明性は維持されているけど・・

「機能性表示食品」として届け出された情報は消費者庁のウェブサイトで公開され、透明性が保たれます。これにより、社会が監視してモニタリングすることができるシステムになっています。

とはいえ、それを理解できる消費者は少ないでしょう。そもそも、そのような情報を確認できることを知らない一般の消費者も多いでしょうし、知っていても確認しようとすらしないでしょう。

サイト上に公開される研究データに誰にでも理解できる解説をつけるとか、サイトにアクセスしやすくする工夫などが必要でしょう。また、消費者が健康食品/サプリメントを正しく選ぶための健康教育も今後ますます重要になるでしょう。

 

機能性表示食品制度の見直し

機能性表示商品性度の見直し

紅麹サプリメントによる健康被害の問題をうけ、消費者庁は専門家による検討会を設け、5月末までに機能性表示食品制度の見直しの方向性をまとめる方針です。現在検討されている主なポイントをみておきましょう。

1.サプリメント工場の製造・品質管理基準の見直し

機能性表示食品制度誕生当初から、「安全性や品質確保が事業者任せになっており、厳格なルール導入が必要」との指摘が消費者団体などからでていました。

今回、機能性表示食品の品質管理体制の確認方法について、医薬品にも適用される製造、品質管理の指針(GMP [Good Manufacturing Practice]/適正製造規範)の認証取得を義務づけることが検討されています。

2. 健康被害状況の届け出体制の見直し

現行の制度では、健康被害に関して、「発生および拡大の恐れがある場合は、消費者庁へ速やかに報告する」としていますが、どの段階で報告すべきかの基準は明確でなく、義務化もありません。

紅麹サプリの問題発覚後、消費者庁は、機能性表示食品の届け出のある事業者に対して緊急調査をした結果、計35商品で、147件の健康被害(入院するなどの重篤な症状のケースも)がありました。健康被害を報告していなかった事業者は、いずれも、「消費者庁への報告は不要と判断した」と回答していました。

報告基準があいまいで、義務化もされていないことから、業者の健康被害に対する認識が甘くなっているようです。。報告の遅延は健康被害の拡大につながる可能性も高いため、今後は、メーカー側から(行政機関への)健康被害情報を速やかに報告するよう義務付ける方向で検討されています。

また、企業が報告を怠った場合、営業許可を取り消すなどの罰則を科すことも検討されているようです。

3.販売前の安全性確認期間の見直し

現行制度は、機能性表示食品の販売の60日前までに消費者庁が事業者側から安全性や機能性の根拠などを示した資料の提出をうけ、確認手続きを経て届け出番号を付与しています。

今後は、消費者庁が事業者から届け出をうける際に、成分が健康を損なう恐れがない確証が得られないと判断した製品については、届け出資料の確認などに通常の2倍の期間(120日)を設定することを検討しています。

4.そのほか

「成分が濃縮されたサプリメントの安全性を食品と同じ扱いで評価できない」としてサプリメントに特化した規制を求める声や、「機能性表示食品は安全性を国が審査していない。そのことが消費者に十分理解されていない」として、国民への適切な情報発信の必要性なども議論されています。

これらは、現在進行中の検討事項であって、正式に決定されたわけではありません。消費者庁や関連機関によるこれらの改善策については、今後の発表を待つ必要がありますが、これらの見直しが実施されることで、機能性表示食品の信頼性と安全性が向上することを期待したいところですが、はたしてどうなることやら・・。

まとめ

  • 日本の制度では食品(健康食品をふくむ)は医薬品などと区別され、食品はさらに「一般食品」と「保健機能食品」に分けられている。一般的な健康食品やサプリメントは「一般食品」に分類され、作用/効果などの表示は一切許可されていない。

  • 保健機能食品には、「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の3つのカテゴリー(区分)があり、機能性の表示許可範囲/内容は、それぞれの区分によって異なる。

  • 「特定保健用食品(トクホ)」は、科学的な根拠に基づき消費者庁の厳しい審査を経て、健康効果が証明された成分をふくむ食品。医薬品ではなく、あくまでも食品なので、治療効果を期待するべきではない。

  • 栄養機能食品」は、申請も届け出も必要ない自己認証制で、ビタミン13種類、ミネラル6種類、n-3系脂肪酸の栄養効果を(定められた文言で)表示できる。栄養成分は一定の範囲での含有量が定められているが、その上限量は極めて低い。

  • 2015年、「アベノミクス」の一環として、米国のダイエタリーサプリメント制度を参考に「機能性表示食品」制度が誕生。現在、参入業者は、1,700社(製品数は約6,800)を超えている。

  • 機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)とは、よく混同され、「国のお墨付きがある」と勘違いされることが多い。実際には、特定保健用食品(トクホ)が、消費者庁の厳しい審査⇒認定をうけてはじめて市場にでるのに対し、機能性表示食品は、自己責任で科学的根拠をもって消費者庁へ届け出るだけで、製品の市場導入ができる。

  • 特定保健食品(トクホ)の認定をうけるには、億単位の資金が必要とされ、期間も数年かかるが、機能性食品であれば、さほど資金はかからず、60日程度で表示が可能となる。

  • 紅麹サプリメントによる健康被害の問題をうけ、機能性表示食品制度の見直しが進行中。検討内容としては、①工場の製造・品質管理基準、②健康被害状況の届け出体制、③販売前の安全性確認期間などの見直し。さらに、サプリに特化した規制の必要性、国民への適切な情報発信の必要性なども議論されている。

 

あなたが、最高の健康を手にいれ、いつもハッピーでいられますように (^^♪


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