ホリスティック栄養学とストレスケア

ストレス栄養学ベースの健康管理&セルフケア情報満載!

結局、コーヒーを飲むべき?飲まないほうがいいの?

結局コーヒーを飲むべき?飲まない方がいいの?

ここ数年、「コーヒーは健康にいい」という情報を目にする機会が急激に増えました。脂肪燃焼を助ける、糖尿病予防になる、認知症予防に役立つ、肝臓にいい、etc., etc…。

たしかにコーヒーには、数多くの有用成分がふくまれ、それを証明する研究も数多く存在します。

しかしその一方で、私たちの神経系やホルモンバランスを乱す物質もふくまれており、とくに、慢性的なストレスや疲労を抱えている人には悪影響をおよぼすケースも多々あります。

本記事では、ストレスニュートリション(ストレス栄養学)の視点から、コーヒーのメリット・デメリットの両面を見なおし、あなたにとって、適切なつきあい方を考えていきます。

◆この記事はこんな人におすすめ
・毎日何杯もコーヒーを飲んでいる人
・最近、寝つきが悪かったり、疲れがとれにくい人
・コーヒーを飲むと、たまに動悸や胃の荒れを感じる人
・クライアントに適切なアドバイスをしたい人

なぜコーヒーの評価は「一昔前」と「現代」で激変したのか

なぜコーヒーの評価は、昔と現代で激変したのか

メディアに溢れる矛盾した情報

一昔前まで、コーヒーは、「胃に悪い」、「眠れなくなる」、「ガンになる」といったマイナスイメージの強い飲みものでした。

ガンとの関連性でいえば、1981年にハーバード大学の研究者が『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)』に発表した論文が有名です。この研究では、「コーヒーを1日2杯飲む人は、飲まない人にくらべて膵臓ガンのリスクが2倍近くなる」と報告され、世界に衝撃をあたえました。

また、2018年には、米カリフォルニア州の裁判所は、スターバックスなどの販売業者に対し、「コーヒーに発ガン性の警告ラベルを表示することと命じる判決をくだし、大きな議論をよびました。(※現在、この義務は免除されています)。

1970年代から1990年代にかけて、「ガン、心臓病、高血圧のリスクを高める」というコーヒーについての研究が多数発表され、世間に強い不安をあたえていたのです。

疫学研究の歴史と「隠れた真犯人」

しかし現在、コーヒーのイメージは「健康によいもの」へと逆転しています。その理由は、数万人規模を追跡する大規模な疫学研究の蓄積により、統計の精度が飛躍的にあがったからです。

昔前の研究でコーヒーが悪者になりやすかった最大の理由は、統計上の隠れた要因を排除しきれていなかったためといえます。

当時、コーヒーを大量に飲む人は、「タバコをよく吸う」、「お酒をよく飲む」、「夜ふかしが多い」といった、別の不健康な生活習慣を同時にもっている確率が非常に高い傾向にありました。そのため、本来は、「タバコや不摂生」が原因で上昇していたガンや心臓病のリスクが、統計上、「コーヒーのせい」に見えてしまっていたのです。

現代の研究では、これらの要因を統計的に細かく分離して解析できるようになっています。その結果、コーヒー本来がもつ、「抗酸化作用」や「炎症抑制効果」といった健康メリットが、ようやく正しく評価されるようになったといえます。

最新科学が明かす、コーヒーの驚くべき有効成分

最新科学が明かす、コーヒーの驚くべき有効成分

知名度No.1の「クロロゲン酸」

クロロゲン酸は、強い抗酸化作用をもつポリフェノールの一種です。

ストレスや紫外線、過労などによって生じる「活性酸素」が過剰になると、細胞を傷つけ、老化や炎症、生活習慣病の要因になります。クロロゲン酸は、この酸化ストレスを抑える働きが期待されているのです。

また、食後血糖値の急上昇や、脂肪蓄積を抑制する効果も報告されています。

注意! 熱に非常に弱いため、焙煎時間が長い深煎り(フレンチローストやイタリアンロースト)では、生豆の約10%~20%にまで激減し、効果がほとんど期待できなくなります。

脳活と代謝改善の超新星「トリゴネリン」

トリゴネリンは、近年、抗老化医学や分子栄養学の分野で、もっとも熱い視線を集めている天然成分です。

筑波大学などの研究で、脳の神経細胞を活性化し、記憶力や空間認識能力を改善する効果がマウス実験で実証されています。

さらに、最新の臨床試験では、体内の「中性脂肪を溜め込む脂肪細胞」が、「脂肪を燃焼させるベージュ脂肪細胞」へと変化することが判明。デスクワークなどの安静時でもエネルギー消費(基礎代謝)を高め、肥満を防ぐ効果が大きな話題をよんでいます。

注目! クロロゲン酸と同様に熱に弱いため、恩恵を最大限に受けるには、「浅煎り(ライトロースト)」が最適です。

深煎りで真価を発揮する「ナイアシン」と「メラノイジン」

浅煎りで失われる成分がある一方、焙煎が進むことで新しく生まれる強力な成分もあります。

◆ナイアシン(ビタミンB3)
熱で分解されたトリゴネリンがナイアシンに形を変えて生成されます。細胞がエネルギー(ATP)生成や、老化抑制の鍵となる「NAD+」の合成に不可欠な栄養素です。

ナイアシンはトリゴネリンと引きかえに増えるため、「中煎り〜深煎り」のコーヒーに多くふくまれます。

注意! 水溶性のためカフェインの利尿作用で排出されやすいのですが、健康な人なら、プラスマイナスでトントン。慢性ストレスを抱えている人は、マイナス(枯渇)に傾くため注意が必要です。

◆メラノイジン
メラノイジンは、焙煎によって豆が茶褐色に変化する際に生まれる高分子物質です。

非常に強力な抗酸化・抗炎症作用をもっています。さらに、腸内の善玉菌を増やす「プレバイオティクス(食物繊維のような働き)」として、腸内環境の改善や、デトックス効果も期待できます。

注目! 焙煎時間が長いほど大量に生成されるため、深煎りのドリップコーヒーやエスプレッソは、非常に高い抗酸化力を維持しています。

まとめ: 焙煎度で変わる健康効果 

コーヒーには、深煎りでクロロゲン酸が減るかわりに、メラノイジンが劇的に増えるという、おもしろい防衛メカニズムがあります。

◆ 浅煎りのメリット: 抗酸化力、血糖値の上昇抑制、脂肪燃焼、脳の活性化
(※深煎りに比べて、カフェインの含有量が多い

◆ 深煎りのメリット 強力な抗酸化力、腸活、エネルギー代謝の促進
(※ 焙煎の熱により、カフェインの含有量が少ない)

自分が求める健康メリットや体質にあわせたカフェイン量に応じて、最適な焙煎度を選ぶのが正解です。

カフェインが身体にあたえる急性・慢性のリスク

カフェインが身体に与える急性・慢性のリスク

これまで見てきたとおり、コーヒーには優れた健康効果がつまっています。しかし、身体にとってマイナスの作用をもたらす成分がふくまれていることも忘れてはなりません。その代表格が、「カフェイン」です。

神経刺激薬としてのカフェイン

カフェインは、脳や脊髄などの中枢神経を刺激する神経刺激薬の一種です。その強力な覚醒作用から、世界で最も多く流通している「合法的な依存性物質」ともいわれます。

カフェインは、交感神経を優位にして、心拍数や血圧を上昇させ、身体を強引に「戦闘モード」へと切りかえます。そのため、ホッと一息つくリラックス目的で飲んだコーヒーが、皮肉にも体内では、ストレス度を高める方向へ作用してしまうのです。

過剰に摂取すると、次のような悪影響があらわれます。

◆急性の中毒症状
中枢神経の過剰興奮: めまい、強い不安感、イライラ、手の震え
消化器系への刺激: 胃酸分泌の促進による胃痛、吐き気、下痢
循環器系への負荷: 心拍数の急増(動悸)、血圧上昇、不整脈

◆慢性的な影響と依存性
カフェインの血中濃度が半分になるまでには、約4〜6時間かかります。そのため、夕方以降の摂取は深い睡眠(ノンレム睡眠)を著しく減少させます。

また、毎日摂取していた人が急にやめると、激しい頭痛強い疲労感、集中力低下、抑うつ気分といった「離脱症状」が1〜2日つづくことになります。

寝つけない・睡眠の質の低下も

寝つけない・睡眠の質の低下も

カフェインをとると眠れなくなる・睡眠の質が悪くなる原因は、脳内で起こるドミノ倒しのような現象にあります。

◆ 根本原因:「アデノシン」の働きをブロック
本来、脳内にたまった睡眠物質アデノシン」が受容体に結合することで、脳の興奮が抑えられ、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌サインが送られて、自然な眠気が生まれます。

しかし、カフェインはアデノシンと構造が似ているため、受容体に先まわりして結合。すると脳は、「まだ活動時間だ」と勘違いし、メラトニンの分泌指令もストップします。

◆ 生じる結果
1.  自律神経の乱れ
脳の覚醒状態は維持され、ストレスホルモン(アドレナリンコルチゾールが分泌されます。これにより交感神経が強制的に刺激され、リラックスモード(副交感神経への切りかえができなくなります。

2.  メラトニンリズム破壊
通常は、夕方以降にメラトニンが分泌されて、心拍数や体温が下がりますが、カフェインによって分泌が減ると交感神経が暴走体温や心拍数が高いまま維持され、さらに寝つけなくなります。

◆ 眠りが浅くなる3つの理由
交感神経が優位なまま眠りにつくと、睡眠の質が著しく低下します。

・深い睡眠(ノンレム睡眠)の減少
 脳が興奮しているため、もっとも深い睡眠ステージに到達しにくくなります。

・途中覚醒の増加
 強い利尿作用夜中に目が覚めやすくなります。さらに、心拍数や深部体温がさがりにくいため、一度目が覚めると再入眠がむずかしくなります。

・筋肉の緊張維持
 副交感神経が働かないため、寝ているあいだも筋肉が緊張しつづけ、起床時に疲労感が残ります。

このように、カフェインは、「入眠障害(寝付けない」だけでなく、「中途覚醒(眠りが浅く途中で目が覚める」という睡眠全体の質の悪化に直結するのです。

カフェイン耐性と依存

カフェイン耐性と依存

◆カフェイン耐性: 同じ量で効かなくなる
脳が刺激に慣れてしまい、同じ量では目が覚めにくくなる現象です。

カフェインは、眠気をもたらすアデノシンの受容体に先まわりしてブロックすることで眠気を消しています。しかし、毎日飲みつづけると、脳は、眠気のシグナルが届かない異常事態を察知し、対抗するために受容体の数を自ら増やします。

その結果、以前と同じ覚醒効果を得るためには、コーヒーの量を2杯、3杯と増やさざるを得なくなります。これがカフェイン耐性の正体です。

◆カフェイン依存: 普通の体調にもどるために飲む悪循環
耐性がついた脳内は、アデノシンの受容体が大量に増えています。

ここで急に摂取をやめると、これまでブロックされていた大量の受容体に一斉に眠気物質(アデノシン)が結合。これにより、脳のブレーキが異常に強くかかってしまい、激しい頭痛や強いイライラ、だるさで動けなくなるような離脱症状がひき起こされます。

元気になりたいわけではなくても、ただ、この苦しい症状から逃れ、普通の体調にもどすためにコーヒーを飲まざるを得なくなるのが、カフェイン依存です。

◆ドーパミンの罠: 心が、また欲しがる「報酬系」
カフェインには、脳内の「やる気」や「快感」に関わる「ドーパミンの働きを高める作用もあります。

アデノシンの働きを抑える結果として、脳内がドーパミンの働きやすい状態になり、気分がスッキリして、集中力が高まります。しかし、脳がこの快適さを「報酬」として記憶し、「あの快感をもう一度味わいたい」という強い要求(心理的依存)が生まれ、さらにコーヒーから抜けだせなくなるループにはまってしまいます。

コーヒー以外にもふくまれる“隠れカフェイン”

世界保健機関(WHO)や日本の厚生労働省などが示す、一般的な成人のカフェイン摂取の基準値は、

1回あたり 200mg まで(超えると急性症状のリスク増)

1日あたり400mg まで(コーヒーのみだと約3〜4杯分)

妊婦・授乳婦:1日 200mg〜300mg まで

これをみると、「コーヒーを3~4杯なら大丈夫」と思いがちですが、落とし穴があります。私たちは日常的に、コーヒー以外の飲料や食品、医薬品からも、無意識に”隠れカフェイン”を摂取しているからです。

とくに、カフェインの分解能力には個人差があるため、基準値内でも不調がでる人は意外に多いのです。

飲料・食品に含まれるカフェイン量(目安)

◆カフェインがふくまれる注意すべき医薬品・サプリ

・眠気防止薬(錠剤):1回100〜200mg(1日量で500mgに達するものもあり危険)

・プレワークアウトサプリ:1回150〜400mg(運動前に飲むサプリ。製品差大)

風邪薬・鎮痛薬:1日分 約50mg〜120mg

飲みあわせの最悪パターン

知らずにやってしまいがちな、とくに危険度の高い飲みあわせも見ておきましょう。

◆コーヒー + 風邪薬・頭痛薬
頭痛を抑えるために薬を飲み、さらにコーヒーを重ねると、1回で150mg以上のカフェインを摂取することになり、激しい動悸や胃痛をまねきます。

◆コーヒー + エナジードリンク
仕事や勉強の眠気覚ましに両方を飲むと、数時間で一気に300mg近くに達し、手の震えや強い憔悴感、パニック感など、重い急性中毒のリスクが跳ねあがります。

◆カフェイン + お酒(アルコール)
カフェインの興奮作用が、アルコールによる脳の麻痺(酔い)を隠してしまうため、自分がどれだけ酔っているかわからなくなり、急性アルコール中毒のリスクを高めます。

カフェインの過剰摂取は、心身にさまざまな急性・慢性の健康被害をひき起こします。過剰摂取を防ぐためには、コーヒー単体だけでなく、これら全体の総量を管理することが、きわめて重要です

ストレス・疲労時の「栄養素泥棒」メカニズム    

ストレス・疲労時の「栄養素泥棒」メカニズム

コーヒーはストレスホルモンの材料を消費し、心身に必要な栄養素を横どりしてしまいます。

カフェインの強い利尿作用

カフェインが腎臓を刺激し、尿の排出を促すルートは主に2つあります。

1.  腎臓の血流増加
腎臓の血管を広げて血流量を増やすため、尿がつくられるスピードが加速します。

2.  水分の「再吸収」をブロック
通常、腎臓でろ過された水分の約99%は体内に再吸収されますが、カフェインは、この回収を抑制。回収されなかった水分がそのまま尿になります。

さらに、コーヒーには排塩作用がある、カリウムというミネラルも豊富なため、お茶や水にくらべて非常に強い利尿作用を発揮します。

水溶性ビタミンや重要ミネラルの枯渇

ストレスと戦う身体は、すでにビタミンCやB群、マグネシウム、亜鉛などを大量に消費しています。そこに、カフェインを投入すると、「利尿作用による排出」と「肝臓での解毒消費」のダブルパンチで、栄養素の枯渇が一気に進みます。

ビタミンB群・ビタミンCの流出 
水溶性(水に溶ける)」のため、尿と一緒にどんどん体外へ排出されます。これらは、コルチゾールなどの抗ストレスホルモンの必須材料なので、失われるとストレス耐性が低下します。

◆ミネラルの排出
腎臓での再吸収が阻害され、神経の興奮を抑えるマグネシウムやカルシウムが不足しやすくなります。

◆鉄・亜鉛の吸収阻害
コーヒーにふくまれるタンニンやポリフェノールが、食事中の鉄分(とくに植物性の非ヘム鉄)や亜鉛と結合し、腸からの吸収率を最大40%〜60%も低下させます。

盲点: 肝臓での解毒(代謝)プロセス

カフェインは身体にとっての異物(薬物)なので、かならず肝臓で解毒されます。この化学処理(解毒酵素CYP1A2の活性化など)の過程でさらに鉄やビタミンB群(とくにB2、B3、B6)が大量に消費されます。

また、解毒プロセスで大量に発生する活性酸素を中和するため、体内のビタミンCやグルタチオン(アミノ酸からつくられる抗酸化物質)も激しく消耗します。

ストレス栄養学では、疲れている人、ストレスレベルの高い人に、「まずコーヒーをやめなさい」と指導しますが、この「栄養素の底が抜けたバケツ状態」に歯止めをかけるためなのです。

コーヒーが、セロトニンを横どり!?

カフェインの利尿作用と解毒の過程で、体内のナイアシン(ビタミンB3)が失われ、不足すると、身体はアミノ酸(トリプトファン)を使ってナイアシンを急造するバックアップシステムを稼働させます。

しかし、ここにメンタル悪化の罠があります。

本来、そのトリプトファンは、幸せホルモン「セロトニン」や睡眠ホルモン「メラトニンの材料になるはずだったもの。つまり、コーヒーのせいで失われたナイアシンを補うために、メンタル維持にとって重要な材料が横どりされてしまうのです。

コーヒーを飲むと一時的にシャキッとする反面、長期的には、「不安感やうつ傾向、不眠」を強めるメンタルクラッシュをひき起こす原因は、ここにあります。

カフェイン以外に知っておきたいコーヒーのリスク

カフェイン以外のリスク

コレステロールをあげる「カフェストール」

コーヒーの油分にふくまれる脂質、カフェストールには、肝臓での代謝を阻害し、悪玉コレステロール(LDL)を上昇させる作用があります。

◆対策
ペーパーフィルターでドリップすれば、油分は紙に吸着されて、大部分を除去できます。フレンチプレスやエスプレッソ、トルココーヒーなど、金属フィルターや直火式で淹れたノンフィルターコーヒーには多くふくまれるため、脂質異常症の懸念がある人はドリップコーヒーが安全です。

加熱によって生まれる「アクリルアミド」

120℃以上の高温加熱(メイラード反応)により自然発生する物質で、国際がん研究機関(IARC)で、「おそらく発がん性がある」に分類されています。冒頭でお話しした、カリフォルニア州での裁判で問題になった物質でもあります。

◆対策
コーヒーにふくまれる量は微量ですが、「浅煎り」よりも「深煎り」のほうが少ないです。「焦げている深煎りの方が少ない」というのは意外かもしれませんが、焙煎の熱で破壊されるためです。

なお、インスタントコーヒーは、レギュラーコーヒーよりもアクリルアミドがやや高めにでる傾向があります。

深煎り=アクリルアミドが少ない=カフェインが少ない

◆「深煎り=苦い=カフェインが多い」の誤解

アクリルアミドが減っても、「苦味が強い深煎りは、カフェインが多そう」と思いがちですが、苦味の主成分は焙煎で生まれる成分(クロロゲン酸ラクトンなど)で、カフェイン量とは比例しません

カフェインは、200℃以上の高温で長時間焙煎されると、熱分解・揮発して減少します。そのため、豆1粒あたりのカフェイン量は、浅煎り > 深煎りとなります。

アクリルアミドもカフェインも減るため、安全性のために深煎りを選ぶのは、とても理にかなった選択なのです。

「大量の農薬」の噂のウソ・ホント

「コーヒーは世界で最も農薬がつかわれている作物の一つ」と聞いたことあるでしょう。

たしかに、栽培段階では多くの農薬が使われますが、私たちが口にする段階での残留農薬のリスクはほぼ無視できます。コーヒーに使用する農薬のほとんどは熱に弱く、200度以上の焙煎過程で85%〜99%が熱分解・揮発して消滅するからです。

また、厚生労働省による厳格な輸入モニタリング検査をパスした豆だけが、(原則として)国内に流通しています。

とはいえ、不安をぬぐい去れないということであれば、オーガニックのコーヒー豆を選びましょう。

健康効果を最大にするコーヒーの選び方

一般的な健康状態の人がコーヒーを楽しむのであれば、次のような選び方がおすすめです。

・ 「ペーパーフィルター」でドリップ: コレステロール上昇を防ぐ

・ 「オーガニック(有機JAS認証)」: 農薬リスクをゼロに近づける

・ 「中深煎り(シティ〜フルシティロースト)」: 浅煎りほどアクリルアミドやカフェインは多くなく、極端な深煎りほどクロロゲン酸も消滅していない

・ 「デカフェの浅煎り・中煎り(ドリップ用)」: カフェインの心配なしに大量のクロロゲン酸を摂取できる

朝と夜で使いわける: 朝は「浅煎り(活動のための成分豊富)」、夜は「深煎りデカフェ(睡眠を妨げず抗酸化力が高い)

ただし、慢性的な疲労やストレスを抱えている人の場合は話が別です。
あとの章でくわしくお話ししましょう。

「デカフェ(カフェインレス)」を選べばいいの?

デカフェを選べばいいの?

「デカフェ」にも微量のカフェインが

近年、睡眠の質の向上やカフェインコントロールという健康志向の高まりを背景に、「デカフェ(カフェインレス)」市場が急速に拡大していています。

一般的なデカフェコーヒーは、カフェインを100%完全に除去できているわけではありません。通常のコーヒーが一杯約90mgふくむのに対し、デカフェでも約2mg〜5mg程度のカフェインが残っています。

重度の依存状態にある人や、ストレスレベルが高く、HPA軸の機能低下(俗にいう、副腎疲労)がある人は、このわずか数ミリグラムのカフェインに対しても脳や神経が過敏反応してしまいます。このため、本人はカフェインを断っているつもりでも、依存が繋ぎとめられてしまうことがあります。

「デカフェ」を選ぶ人もカフェイン依存症?

ストレス栄養学では、デカフェを選ぶ人の多くに“隠れ依存”があると考えます。
身体がカフェインを欲する根本的な原因(慢性疲労やエネルギー不足)が解決していないため、無意識にその代替品としてデカフェにしがみついているという背景があるからです。

◆「低血糖」と「アドレナリン」の悪循環
食生活の乱れやストレスなどで血糖値が低下しているときにカフェインをとると、副腎からアドレナリンなどが分泌され、一時的に血糖値があがり、元気になります。

デカフェを欲する人は、すでにこの「カフェインで無理やり血糖値をあげて動く」というシステムが身体に染みついています。

デカフェに切りかえても、脳は「コーヒーの味や香りの記憶(条件反射)」によってアドレナリン分泌を期待するため、根本的なエネルギー不足の解決にならず、結果として「コーヒー依存の形」から抜けだせていないのです。

◆身体が限界を迎えているサイン
カフェインを日常的にとりすぎると、HPA(視床下部-下垂体-副腎)軸の機能に狂いが生じ、ホルモンの分泌に影響がでてきます。自力で朝起きたり、気力を維持できなくなる、副腎疲労に陥ります。

「最近コーヒーを飲むと動悸がする、眠れない、胃が荒れる」というのは、副腎疲労が進行し、カフェインを拒絶しはじめているサインです。疲労感は消えていないため、コーヒーを飲むことで得られていた安心感や一時的な覚醒感(プラセボ効果)を求めてデカフェを飲みつづけます。

海外のデカフェの注意点

日本国内のデカフェは、カフェイン除去に薬品を使っていないので安心/安全ですが、海外(とくに欧米)では、発がん性が指摘される「ジクロロメタン(塩化メチレン)」などの化学薬品を用いた抽出法(ケミカル・プロセス)が主流です。

個人輸入や海外旅行先での購入の場合は、かならずラベルを確認し、「Water extraction」や「Swiss water process」の表示があるものを選んでください。「Natural Process(酢酸エチル使用)」や、製法未記載のものは、薬品抽出の可能性があるので、ご注意を!

体調不良のあなたは、習慣的なコーヒーをやめよう

 体調不良のあなたは、習慣的なコーヒーは止めよう

 ストレス栄養学では、だるさ・慢性疲労・不眠・体調不良などがある場合、生活からカフェインをとり除く(習慣的な摂取を避ける)ことをすすめます。

まずはご自身のストレスレベルをチェックしてみましょう。 

ストレスレベル1,2のあなた⇒まずは2週間の“コーヒー断ち”

 2週間程度、完全にコーヒーを断ってみましょう。「少しずつ減らす」方法は、カフェインの依存性の高さから、元の量に戻りやすいため、一気にやめて完全に抜くのがベストです。

最初の1~2日は、頭痛や強いイライラどの離脱症状がでることが多いので、会社の休みなど予定が入らない3日間を選んで決行するのがおすすめです。不快な症状は、通常72時間程度でおさまります。

ストレスレベル3のあなた⇒副腎ケアをしながら徐々に減らす

ストレスレベル3、すなわち慢性的なストレスを抱えている、副腎疲労(HPA軸の機能低下)でコルチゾールが一日中低い(枯渇している)状態のあなたは、自力でエネルギーをつくったり、身体を維持したりする余力がなくなり、カフェインによる人工的な刺激で、かろうじて血圧や血糖値を保って日常生活を送っている状態です。

この状態でカフェインを突然カットすると、日常生活に支障をきたすほどの強い倦怠感や低血糖をまねき危険なため、徐々に減らしていく必要があります。

1.  まずは土台の栄養素を補う
カフェインを減らす前に、副腎の材料となるビタミンC、パントテン酸(ビタミンB5)、そしてドーパミンやエネルギーの材料となるタンパク質と鉄を徹底補給します。また、低血糖を防ぐため、ボーンブロスや質の良い補食をはさみます。

2.  薄める・置きかえる
身体が栄養素で満たされ、自力でエネルギーをつくれるようになってから、はじめてコーヒーのカフェイン量を減らすようにします。普通のコーヒーにデカフェを混ぜて、3/4→1/2→1/4と、数週間~数ヶ月かけて段階的に薄めていき、最終的にカフェインをゼロにします。

健康な人も守りたい、コーヒーの飲み方・黄金律

 ◆起床後90~120分(午前10時頃)に飲む
目覚めのホルモン「コルチゾール」の分泌ピーク(起床直後を避けることで、血糖値の急上昇や自然な覚醒リズムの破壊を防ぎ、カフェインの純粋な覚醒効果/集中力向上効果を得られます。

◆午後のコーヒーは14時まで
カフェインを代謝する速度は人によって異なりますが、一般的に日本人はカフェインの分解が苦手な人が多いため、睡眠の質を守るために14時以降は避け、飲むならデカフェにしましょう。

食事とのソーシャルディスタンス
鉄分やミネラルの吸収阻害を防ぐため、コーヒーは食事から時間をあけて飲むようにします。

また、利尿作用による脱水を防ぎ、腎臓への負担を減らすために、コーヒーと同量以上の水を一緒に飲むようにするといいでしょう。

栄養素を補うアプローチ
コーヒーを飲む習慣がある人は、ビタミンB群、C、マグネシウム、亜鉛の消費量が多いため、サプリメントや食事(豚肉、緑黄色野菜、海藻など)で意識的に多めに補給してください。

おわりに —— コーヒーは「良薬」にも「毒」にもなる

コーヒーは薬にも毒にもなる

「さまざまな疾病予防になるから、コーヒーは飲んだほうがいい」という情報を、私たちは日常的に目にするようになりました。実際、これまで見てきたとおり、コーヒーにふくまれる豊富なポリフェノールや天然成分には、科学的にも素晴らしい健康メリットが存在します。

しかし、その恩恵をまっすぐに受けとれるのは、あくまでも、身体に十分な余力がある人が適切な量とタイミングで楽しむ場合だけです。

もし今あなたが、
・ 朝からだるく、疲れが抜けない
・ コーヒーを飲まないと、一日をスタートできない
・ 夜ぐっすり眠れない
・ 甘いものがやめられない

という状態にあるなら、それはコーヒーを「楽しんでいる」のではなく、限界を迎えた身体にカフェインというムチを打ち、無理やり走らせているサインかもしれません。

健康によいとされるポリフェノールや抗酸化物質は、コーヒー以外の自然な食品からも十分に摂取できます。エネルギー不足のバケツに底が抜けたまま、劇薬であるカフェインで無理やり元気を前借りする生活は、どこかで破綻してしまいます。

大切なのは、カフェインのような刺激物に頼ることではなく、自分自身がエネルギーを生みだせる身体をとりもどすことです。

明日からの1杯が、あなたの身体を削る「毒」ではなく、心を満たす豊かな「良薬」となるように、まずは一度、ご自身の心と身体の声に耳を傾け、コーヒーとの心地よい距離感を見つめなおしてみましょう。

あなたが、最高の健康を手にいれ、いつもハッピーでいられますように (^^♪

 

★人気のストレス栄養学 入門講座
心身ともに健康でありつづけるための具体的方法を伝授

ストレス栄養学入門講座【ストレスケアと食事法】

ストレスケアと食事法  
   (全3回 計6時間)
特別受講料:¥11,000 
            (通常 ¥33,000)
クーポンコード⇒
STN110